2006 Fiscal Year Annual Research Report
結合蛋白質によるテロメア長制御の構造基盤の解明と癌治療に向けたデコイ法の試み
Project/Area Number |
18011008
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
片平 正人 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (70211844)
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Keywords | hnRNP / テロメア / テロメレース / リクルート / 癌 / NMR / 構造 / デコイ |
Research Abstract |
テロメア配列のDNA/RNA結合タンパク質hnRNP A1のタンデムな2つの核酸結合ドメインが、テロメアDNA及びテロメレースRNAとどのような様式で相互作用するのかを解析した。まずhnRNP A1タンパク質の共鳴線の帰属を、他核多次元NMR法によってほぼ完了した。次にケミカルシフトパータベーション法によって、テロメアDNA及びテロメレースRNAの各々と相互作用するhnRNP A1のアミノ酸残基を明らかにした。これにより同タンパク質によるテロメレースのテロメアDNAへのリクルート機構に関する構造学的な基盤が得られた。またRNAi法を用いてhnRNP A1タンパク質及びhnRNP Dタンパク質をノックダウンした細胞におけるテロメア長を、T-OLA法及びインゲルサザン法等によって測定した。これによって両タンパク質の機能に直接迫りつつある。 ヒトのテロメアDNAが生理的なイオン条件下(カリウムイオンに富んだイオン条件下)において形成する特異な4重鎖構造の決定に成功した。これまで考えられていたものとは異なる新規構造が見出され、分子内の構造体でありながら、3本の鎖が平行に配置され、残り1本のみが反平行に配置されていた。テロメアDNAを安定化する低分子化合物は、テロメラーゼの活性を阻害する事ができるので、抗癌剤の有力な候補である。今回得られた構造は、このような化合物のデザイン・開発に利用できる。
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