2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18012002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 和生 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (20093536)
|
Keywords | o-phenyl phenol / phenylhydroquinone / 異数性 / スピンドルチェックポイント / mitotic index / p53 / p21 / MAPK |
Research Abstract |
発がん作用はあるが,エームス試験で突然変異誘発作用が認められない一群の化学物質について,その作用機構を酵母とヒト培養細胞を用いて明らかにしようとした。ここでは特にo-phenyl phenol(OPP)とその誘導物phenyl hydroquinone(PHQ)について調べたところ,酵母の場合,染色体喪失を特異的に誘発すること,G2/M期で細胞周期を止めることが分かった。ヒト培養細胞に対しても,mitotic indexを上昇させること,aneuploidyを導くことも明かとなった。G2/M期チェックポイントの代表的関所であるスピンドルチェックポイントとの関係を調べたところ,Mad2突然変異には影響されないこと,separaseの活性化が起きていないことなどから,OPP/PHQはスピンドルチェックポイントとは別の関所に作用してaneuploidyを誘導していることになる。OPP/PHQ処理した酵母の染色体や形態を観察すると,G2期ないしG2/M境界で周期の停止があるように見られる。作用点を明かにすることが今後の課題で合う。ヒト培養細胞に対しては,OPP/PHQ処理すると,p53の安定化とp21等の発現が上昇する。細胞はG2/M境界のあたりで停止した。またp53依存的にアポトーシスも誘導した。OPP/PHQはDNA損傷を誘導しない。以上の結果より,MAPK経路に関わってG2/M境界で細胞周期を止めている可能性が示唆される。今後は,OPP/PHQが直接関わるタンパク質を明らかにすると共に,どのような仕組みで異数性をするのかという問題を明らかにしたい。
|