2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌EGFRキナーゼ活性型変異株はなぜ蛋白分解酵素阻害物質SLPIを高産生するか
Project/Area Number |
18012008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貫和 敏博 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40129036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 彰 東北大学, 大学病院, 助教 (70361087)
田原 稔 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (50375036)
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Keywords | EGFR / SLPI / 肺発癌 / 自然免疫 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
肺癌細胞株H1650,PC9は肺癌臨床において重要な意味をもつEGFR(epidermal growth factor receptor)のexon19の一部に欠失変異を持つ細胞株である。これらの細胞株はSLPIを高産生することから、SLPIとEGFRの関連およびSLPIの肺癌における作用機序を解析した。 SLPIノックアウトマウス肺においてマイクロアレイによる解析から、炎症時に上昇するMuc5ACやSerum Amyloid A3等の発現が上昇していることから、炎症と発癌の関連について解析した。SLPIノックアウトマウス肺を詳細に観察すると、通常の飼育環境においても細菌感染、肺炎、気管支炎を発生しやすい事が明らかとなった。さらに、無処置のSLPIノックアウトマウスの肺においても、炎症を制御する重要な転写因子であるNfkBが核内に移行しており、活性化状態にあることが明らかとなった。通常NfkBの活性化は発癌を促進する作用があると報告されており、NfkBの活性化が強いSLPIノックアウトマウスがウレタン発癌に対して抑制的に働いていることが明らかとなった。NfkB関連シグナルにSLPIが関与している可能性がある。 さらにSLPIノックアウトマウスにおける化学発癌の抵抗性がウレタンのみのものであるか検討するため、ウレタン以外の化学発癌の実験系(methylcholanthrene/butylated hydroxytoluene)を施行した。その結果SLPIノックアウトマウスにおいては典型的な腫瘍を形成せず、特徴的な表現系が形成されることが明らかとなった。SLPIが発癌に重要な役割をもっていることが明らかとなったが、発癌物質の違いにより表現型が異なる機序については不明である。
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Research Products
(4 results)