2007 Fiscal Year Annual Research Report
発がん促進、防御の二面性を示すNotchシグナル伝達系の調節因子群の機能
Project/Area Number |
18012011
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北川 元生 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (40262026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張ケ谷 健一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40101894)
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Keywords | Notch / Mastermind / シグナル伝達 / 発現制御 / 発生・分化 / 造血器腫瘍 / 遺伝子欠失マウス |
Research Abstract |
Notchシグナルは、種々の細胞運命決定において重要な役割を果たしていることが示されている。また近年、このシグナルには発がん促進と抑制という二面性があることが示されてきている。 造血系においてNotchシグナルは、二次造血の発生、T細胞への運命決定、胸腺CD4 CD8 double negative(DN) T細胞からdouble positive T細胞への分化、脾臓marginal zone B(MZB)細胞の発生に必須であることが示されている。また、このシグナルの異常な活性化がヒトT cell acute lymphoblastic leukemiaの原因となっていることが示されている。 以前我々はヒトMastermind(Mam)のファミリー(Mam-1、-2、-3)を見出し、MamがNotch細胞内ドメイン、DNA結合タンパク質RBP-Jと複合体を形成して標的プロモーターに結合し、転写を活性化するという機能を見いだした。今回Mam-1遺伝子欠失マウスを作製し、その表現型を解析した。初代培養胎仔線維芽細胞において、Notchシグナル活性化による標的プロモーター活性化を検討したところ、Mam-1欠失細胞では野生型に比べ低下していた。このことからMamはNotchシグナルの強度を維持するために必要であると考えられた。 Mam-1欠失マウスは発育遅延を示し、生後3週以内にすべて死亡した。胸線は低形成であり、DN T細胞の割合が増加していた。胎仔肝、および生後の骨髄中の造血幹・前駆細胞のコロニー形成能、移植後の骨髄再構築能には異常は見られなかったが、移植マウスの胸腺においてMam-1欠失細胞のDN T細胞の割合の増加が再現しており、さらに脾臓ではMam-1欠失細胞由来のMZB細胞分化が大きく抑制されていた。以上よりMam-1はマウス生体の造血系においてNotchシグナル伝達を部分的に担っていると考えられた。
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