2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18012012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 清 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40200133)
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Keywords | 染色体 / 相同組換え / 細胞周期 / 中心体 / DNA損傷 |
Research Abstract |
Rad51Bは相同組換え修復において中心的役割を果たすRad51と構造的に類似し、Rad51と協調して相同組換えに関わる。ヒト腫瘍では子宮筋腫において染色体転座の結果としてRad51Bの機能低下が存在するものと考えられているが、これはクローナルな異常ではないために、腫瘍化そのものよりは腫瘍の進展に関与することが想定されている。そこでRad51Bのヒト腫瘍における役割を明らかにする目的で、ヒト大腸がん細胞株HCT116においてターゲティングによりRad51Bの機能低下細胞を作成した。この細胞はRad51Bを4コピー有しているが、順次ターゲティングを行うことによって1コピーのみ有する細胞まで作成した。これらの変異細胞はいずれもRad51Bの量低下依存性に放射線やDNA架橋剤に対して高い感受性を示した。またこれらのDNA損傷に対してRad51が核内において集積するが、Rad51Bの機能低下細胞ではこの集積が減弱していた。これらの結果はRad51BがRad51と協調して相同組換え修復に関わることを示唆する。Rad51と構造的に類似する他のRad51 paralogの変異細胞では中心体の数的異常が増加することが報告されているがRad51Bではその報告がない。そこでこれらの変異細胞において中心体数を検討したところRad51Bの量の低下に依存して中心体数の増加が観察された。さらにFISHにより染色体数を解析したところ、中心体数の増加と同様に異数体の増加が観察された。以上より、Rad51B量は中心体安定化により異数体の形成を抑制することが明らかとなり、この現象は良性腫瘍におけるRad51B機能低下の腫瘍進展における役割を示唆する。
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Research Products
(5 results)