2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解明:遺伝情報システムと酸化ストレスからの検討
Project/Area Number |
18012014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80240703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部附属病院, 講師n (00272550)
新谷 良澄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80261965)
三好 秀征 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (00401042)
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Keywords | C型肝炎 / 肝発癌 / 酸化ストレス / トランスジェニックマウス / 細胞内シグナル伝達 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
C型慢性肝炎患者の肝臓においては、いくつかの細胞内機能異常が見出されてきている。それらは、核を介した遺伝情報システム異常、小胞体や核における蛋白合成・輸送・分解の異常、そしてミトコンドリアにおけるエネルギー代謝の異常である。これらの所見はC型肝炎患者の肝においても見出されるが、それらをヒトで実験的に検討することは困難である。私たちはこれまでC型肝炎ウイルス(HCV)コア遺伝子を導入したトランスジェニックマウスをモデルとして用いて、HCVの肝発癌への直i接的な作用を明らかにしてきた。コア遺伝子トランスジェニックマウスにおいては肝癌が発生するが、発癌前の肝では炎症性サイトカインTNF-αやIL-1βの発現が誘導され、さらにMAPKシグナル伝達経路が活性化され、引き続き転写因子AP-1の活性化、Cdk4、cyclinD1の発現亢進といった細胞内の遺伝情報システムの異常がもたらされることが明らかとなった。すなわち、細胞の遺伝情報システム異常によって細胞増殖が惹起されることが明らかになったのである。一方、コア蛋白は肝において炎症不在下に酸化ストレス(ROS)発生が亢進している。コア蛋白を発現している肝細胞ではミトコンドリア機能の異常が存在し、それが酸化ストレス産生に関与していることが明らかにされた。 プロテアゾーム・アクティベーター(PA)28γがHCVコア蛋白と相互作用することを我々は既に報告してきた。今回、PA28γノックアウトマウスとHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを掛け合わせる検討によって、コア蛋白が生体内において肝脂肪化誘発および肝発癌という病原性を発揮するためには、PA28γ分子の存在が必須であることが明らかとなった。すなわち、コア蛋白は核においてPA28γ分子と結合してユビキチン化されるが、そのことが病原性発現に重要である。その詳細な機序についてはなお検討中である。
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Research Products
(7 results)