2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18012014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 和彦 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 教授 (80240703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森屋 恭爾 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (00272550)
新谷 良澄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (80261965)
三好 秀征 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (00401042)
四柳 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 特任講師 (30251234)
|
Keywords | C型肝炎 / 肝発癌 / 酸化ストレス / トランスジェニックマウス / 細胞内シグナル伝達 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
C型慢性肝炎患者の肝臓においては、いくつかの細胞内機能異常が見出されてきている。それらは、核を介した遺伝情報システム異常、小胞体や核における蛋白合成・輸送・分解の異常、そしてミトコンドリアにおけるエネルギー代謝の異常である。私たちはこれまでC型肝炎ウイルス(HCV)コア遺伝子を導入したトランスジェニックマウスをモデルとして用いて、HCVの肝発癌への直接的な作用を明らかにしてきた。同マウスにおいては肝癌が発生するが、発癌前の肝ではMAPKシグナル伝達経路が活性化され、引き続き転写因子AP-1の活性化、Cdk4、cyclinD1の発現亢進といった細胞内の遺伝情報システムの異常がもたらされることが明らかとなった。一方、コア蛋白は肝において炎症不在下に酸化ストレス(RQS)発生が亢進している。コア蛋白を発現している肝細胞ではミトコンドリア機能の異常が存在し、それが酸化ストレス産生に関与していることが明らかにされた。 プロテアゾーム・アクティベーター(PA)28γがHCVコア蛋白と相互作用することを我々は既に報告してきた。今回、PA28γノックアウトマウスとHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを掛け合わせる検討によって、コア蛋白が生体内において肝脂肪化誘発および肝発癌という病原性を発揮するためには、PA28γ分子の存在が必須であることが明らかとなった。すなわち、コア蛋白は核においてPA28γ分子と結合してユビキチン化されるが、そのことが病原性発現に重要である。また、脂質代謝関連遺伝子の転写因子である核内受容体PPARαがコア蛋白によって活性化され、コア蛋白による肝細胞ミトコンドリア電子伝達系機能障害と相まって、脂肪酸増加→酸化ストレス増加→ミトコンドリア機能障害→脂肪酸増加という負のスパイラルを引き起こし、肝癌の発生に深く関与していることが明らかになった。
|
Research Products
(5 results)