2006 Fiscal Year Annual Research Report
c-Myc標的遺伝子ATF3の細胞増殖と発がんに関する研究
Project/Area Number |
18012015
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北嶋 繁孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 三美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10323693)
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Keywords | 発がん / 細胞運命 / 転写制御 / ATF3 / c-myc標的 / スプライシング / 細胞生存阻害 / 抗がん剤作用 |
Research Abstract |
転写因子ATF3は、血清刺激による細胞増殖誘導時に発がん遺伝子c-mycの下流で誘導される。同時に種々のストレス刺激によっても誘導されることから、細胞増殖と細胞死に関わっており細胞運命の決定に働いているがそのメカニズムと意義については不明な点が多い。本研究期間において、次の点を明らかにした。 1)強いストレス刺激に反応して誘導されるスプライシングバリアントZip2が、NF-kB、p65(Re1A)と直接結合すること、 2) 2)その結合は、co-regulator binding motifにホモロジーを持つC-末の19アミノ酸配列が関与すること、 3) 3)p65結合の結果、コアクチベーターCBP/p300との結合を弦弱すること、4) Zip2は、NF-kB依存性転写を抑制し抗アポトーシス遺伝子を阻害すること、を見出した。この結果は、ATFの細胞抑制機能がそのスプライシングによっても制御されていることを始めて見出したものである。抗がん剤はじめDNA障害時にもZip2が誘導されることから、in vivoにおいてもZip2がATF3による細胞死に深く関わっている可能性がある。 PI3キナーゼ阻害剤は、細胞増殖や細胞生存を阻害することにより、抗がん剤として期待されている。そのひとつLY294002の大腸がん細胞死のマイクロアレイ発現解析により、本阻害剤が、ATF3を誘導することを見出した。その作用機序を解析したところ、1)LY294002は、本来のPI3 kinase阻害剤としての機能と非依存性にEgr1を誘導し、それがATFプロモーターを活性化することを明らかにした。 以上の結果は、ATFが発がん、がん抑制に関わることを示すものである。さらに、ATF3の生物機能をさらに解析するために組織特異的ATF3ノックアウトマウスを作成中である。
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