2006 Fiscal Year Annual Research Report
PDZドメイン蛋白を介したHTLV-1発がんの悪性化機構
Project/Area Number |
18012016
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
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Keywords | ウイルス / 微生物 / 感染症 / NF-kB / PDZ / HTLV / ATL / 白血病 |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。一方で、近縁ウイルスHTLV-2はATLあるいは類似悪性疾患を発症させない。HTLV-1のトランスフォーミング蛋白Tax1が転写因子NF-kB2を活性化するのに対して、HTLV-2のTax2はNF-kB2を活性化しないことを見出した。その際、Tax1はNF-kB2/p100と結合したが、Tax2は結合しなかった。Tax1はT細胞株(CTLL-2)の細胞増殖をIL-2依存性から非依存性へと形質転換するが、RNA干渉法でNF-kB2の発現を低下させると、Tax1の形質転換能が著名に低下した。一方で、Tax2もCTLL-2を形質転換したが、その活性はTax1よりも低く、NF-kB2の発現を低下させても、活性への影響は観察されなかった。さらに、NF-kB2を活性化することが知られている、NIK(NF-kB inducing kinase)を発現したCTLL-2において、Tax2による形質転換活性は有意に昂進した。Tax1はC末端にPBM(PDZ domain binding motif)を持つが、Tax2はこのモチーフを持っていない。PBMもTax1によるCTLL-2の形質転換に関与するが、Tax2にTax1のPBMを付加した変異体(Tax2+C)とNIK発現細胞を用いると、Tax1以上の形質転換活性を示した。これらの結果は、NF-kB2活性化能とPBMを介したシグナルが、ともに、Tax1とTax2の違いに関与し、引いては、HTLV-1とHTLV-2の病原性の違いに関与することを示唆した。
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Research Products
(5 results)