2006 Fiscal Year Annual Research Report
WntおよびBMPシグナルの相互作用による胃粘膜上皮分化制御機構
Project/Area Number |
18012017
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 正伸 金沢大学, がん研究所, 教授 (40324610)
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Keywords | Wnt / noggin / BMP / 胃癌 / マウスモデル |
Research Abstract |
腸管上皮幹細胞での未分化性維持にはWntシグナルが重要な役割を果たしており、その分化誘導にはBMPシグナルが重要である事が示唆されている。実際にWntシグナル亢進に作用する遺伝子変異は大腸癌発生の原因であり、BMPシグナル遮断に作用する遺伝子変異は家族性の腸管腫瘍疾患の原因として知られている。しかし、胃粘膜上皮の分化増殖や、胃癌発生過程でのBMPシグナルの役割については知られていない。そこで、以下の実験を行なった。 (1)胃癌発生モデルマウス(K19-Wnt1/C2mE)を使って、胃癌組織で発現変化が認められるBMPシグナル関連因子をフィルターアレイにより網羅的に解析した。その結果、BMP受容体遺伝子の発現低下が認められた。そこで、9種類の胃癌細胞株を使って同じBMP受容体遺伝子発現をRT-PCRで解析した結果、6例で発現低下が認められた。 (2)BMPの内在性阻害因子であるnoggin遺伝子をRT-PCRによりクローニングし、胃粘膜上皮細胞で転写活性のあるK19遺伝子プロモーター制御下に発現するベクターを作製した。このベクターを用いて、マウス受精卵にインジェクションし、トランスジェニックマウスを6系統作製した。現在、生殖系列での遺伝子伝達について解析を行なっている。 (3)K19-Wnt1遺伝子を用いて、胃粘膜上皮でのWnt活性とBMPシグナルとの関係について免疫組織学的に検討した。その結果、β-cateninの細胞内蓄積で検出されるWntシグナルと、Id2発現で検出されるBMPシグナルはそれぞれ異なる領域で活性化している結果が得られた。今後、それぞれのシグナル活性化と細胞分化との相関関係について詳細な組織解析を進める。
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