2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄性白血病発症モデルマウスを用いた免疫監視機構の総合的研究
Project/Area Number |
18012028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 雅一 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (40211479)
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Keywords | 白血病 / Rap1 / SPA-1 / CML / 白血病幹細胞 / BCR-Abl |
Research Abstract |
SPA-1遺伝子破壊マウス(SPA-1-/-マウス)は、ヒト慢性骨髄性白血病(CML)に酷似した病態を示すことから、ヒトCMLにおけるSPA-1の役割について解析を行った。ヒトCMLの原因遣伝子であるBCR-Ablを発現させた造血系細胞株を解析したところ、内在性SPA-1の減少およびRap1の恒常的活性化が観察された。このSPA-1減少は、BCR-Ab1のキナーゼ活性に依存しており、細胞株のみならずBCR-Ab1を導入したマウス未分化造血細胞(HPC)においても認められた。BCR-Ablによる内在性SPA-1の減少が、BCR-Ab1によるCML発症とどのように関係しているか調べるために、SPA-1-/-マウス由来HPCにBCR-Ab1を発現させ、Scidマウスに戻した場合のCML発症について解析した。その結果、コントロールマウス由来HPCにBCR-Ab1を発現させた場合と同様のCML様骨髄細胞増多症を認めたが、SPA-1-/-マウス由来HPCを用いた場合のほうがより未熟な白血病性(BCR-Abl+)HPCが増加することが明らかになった。さらに白血病を発症したマウス骨髄細胞をscidマウスに移植したところ、コントロールマウスでは2回目の移植によりBCR-Ab1+HPCは減少し、3回目の移植では白血病は発症しなかった。これに対しBCR-Ab1によりCMLを発症させたSPA-1-/-マウス由来骨髄細胞を移植した場合、2回目の移植でもBCR-Ab1+HPCの数は維持されており、3回目の移植を行っても白血病が発症した。この結果は、内在性SPA-1は生体内においてBCR-Abl+白血病性HPCの増殖を制御していることを示唆している。このことは現在問題となっているCML幹細胞の治療において、Rap1シグナルがその1つの分子標的となりうることを強く示唆している。
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Research Products
(4 results)