2007 Fiscal Year Annual Research Report
H. pylori感染から胃発癌に至る過程におけるREG蛋白の役割の解明
Project/Area Number |
18012029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 勉 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30188487)
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Keywords | Reg I α / Reg IV / H.pylori / STAT3 / IL6 / アポトーシス / 胃癌 |
Research Abstract |
(1)ヒトH.pylori感染胃粘膜ではRegIαならびにRegIVの発現が上昇していた。このうちRegIαの発現は特に炎症所見の強さと相関していた。一方RegIVの発現は感染期間が長いほど発現の上昇が認められた。 (2)In vitro実験では、H.pyloriそのものは上皮細胞に対してRegIα、RegIVいずれについても直接的な発現上昇作用は認めなかった。このうちRegIαはIL6,IL11さらにIFNγによってその発現が増強された。またこの際、IL6,IL11はSTAT3のリン酸化を介してRegIαの発現を増強させ、また遺伝子の上流-142〜-134にIL6-responsiveサイトを認めた。一方IFNγはIRF1,2を介してRegIα発現を増強させた。 (3)一方、RegIVの発現は、EGF,TGFα,HGF,VEGFによって増強されたが、IL6やIFNγによっては発現は変化しなかった。なおNFκBの活性化はRegα、RegIVいずれにも影響しなかった。 (4)RegIαは胃癌細胞において、Aktの活性化、Badのリン酸化、さらにBcl-xLの発現を増強することによって抗アポトーシス作用を発揮した。 (5)ヒト胃癌組織においてpSTAT3の発現とRegIα蛋白の発現とは良く相関していた。 (6)RegIVもRegIαと同様の機序で胃癌細胞に対して抗アポトーシス作用を発揮した。 (7)以上より、H.pylori感染胃粘膜では、炎症性サイトカインによってRegIαの発現が、さらに増殖因子によってRegIVの発現がそれぞれ増強され、これらがAkt経路を活性化することによって抗アポトーシス作用を発揮させて、細胞の増加、胃は発癌に関与しているものと考えられた。
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