2006 Fiscal Year Annual Research Report
BUB1Bによる紡錘体チェックポイントと中心体複製の分子連係機構
Project/Area Number |
18012034
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 秀樹 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (10397987)
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Keywords | 高発がん性遺伝病 / 染色体 / チェックポイント / 細胞周期 / BubR1 / BUB1B / Plk1 / 中心体 |
Research Abstract |
染色分体早期解離(PCS)症候群は、染色分体早期解離と異数性モザイク、高発がん性を特徴とする劣性遺伝病である。重度小頭症と発育遅滞、難治性けいれんを示し、ほぼ全例が、Wilms腫瘍や横紋筋肉腫を合併する。我々はこれまでに原因遺伝子を15q15にマップしてBUB1B遣伝子を同定した。患者細胞はBUB1Bの発現低下により紡錘体チェックポイントに異常を来して、紡錘体のキネトコア接続に異常が生じても細胞がこれを感知することができない。その結果、細胞は分裂期をすり抜けて染色体が娘細胞へ不均等に分配されることが明らかとなった。我々はその後詳しく患者細胞の染色体動態を観察したところ、患者細胞は中心体の過剰複製とこれに引き続く多極細胞分裂が多発することを見いだした。この結果からBUB1Bが紡錘体チェックポイントに加えて中心体の複製にも関与していることが考えられた。本研究ではBUB1Bによる紡錘体チェックポイントと中心体複製の分子連係機構を解明することを目的としている。 免疫染色および中心体精製実験を行ったところBubR1蛋白(BUB1B遺伝子産物)は間期細胞で中心体に局在していた。さらに患者細胞で種々の中心体関連タンパク質をウェスタンブロットで解析したところ、Plk1のリン酸化バンドの増強が認められ、Plk1活性が亢進していることが判明した。患者細胞でBUB1Bを強制発現させるとPlk1活性が正常化して中心体の過剰複製と多極性分裂が抑制された。一方、正常細胞でBUB1BをsiRNAでノックダウンすると、Plk1活性が亢進して中必体が過剰複製した。免疫沈降法によりBubR1とPlk1のin vivoでの結合が示された。以上の結果から、BUB1Bは紡錘体チェックポイントに加えてPlk1を介して中心体複製を制御して安定な染色体分配に機能していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)