2006 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分離機構の破綻と疾患:ダイニンと微小管ネットワークの制御機構の解明
Project/Area Number |
18012041
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
広常 真治 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80337526)
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Keywords | 中心体 / 細胞質ダイニン / 染色体分離 / 紡錘体制御 / LIS1 |
Research Abstract |
細胞分裂時の正確な染色体の分離はゲノムの恒常性を維持するのに重要な役割を果たしている。ひとたび染色体分離の異常が起こればがん抑制遺伝子の喪失、がん遺伝子の過剰な分離にいたる。これが発がんの重要なメカニズムの一つであるが染色体の正確な分離がどのようにコントロールされているかは不明な部分が多い。我々は滑脳症の原因遺伝子・LIS1の機能解析に取り組んできた。LIS1は結合タンパク質・Ndel1とともに細胞質ダイニンの制御を行っていることが明らかにした。細胞質ダイニンは染色体分離時に核膜の崩壊、紡錘体における微小管の牽引、中心体への結合を担っており染色体分離のなかで中心的な役割を果たしている。細胞質ダイニンは微小管をマイナス端に向かって走るモータータンパク質であるが、ダイニンが正常に物質輸送を行うには、ダイニンがいったん微小管のプラス端に運ばれる必要がある。しかしダイニンが微小管のプラス端に移動するメカニズムは不明であった。今回LIS1は細胞質ダイニンのモーター活性を可逆的に抑制しダイニンを微小管上に固定する機能があること、またLIS1、ダイニン、微小管の複合体が一塊となってキネシン依存性に微小管のプラス端に運搬されることが明らかとなった。つまり、LIS1は細胞質ダイニンの細胞内における適切な分布を制御していることを示している。またこのことは微小管がこれまでのモータータンパク質のレールとなっているだけでなくそれ自体が細胞内における物質輸送の荷台として機能していることを示ものである。
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[Journal Article] DISC1 regulates the transport of the NUDEL/LIS1/14-3-3epsilon complex through kinesin-1.2007
Author(s)
Taya S, Shinoda T, Tsuboi D, Asaki J, Nagai K, Hikita T, Kuroda S, Kuroda K, Shimizu M, Hirotsune S, Iwamatsu A, Kaibuchi K.
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Journal Title
J Neurosci. 27
Pages: 15-26
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[Journal Article] NDEL1 phosphorylation by Aurora-A kinase is essential for centrosomal maturation, separation, and TACC3 recruitment.2007
Author(s)
Mori D, Yano Y, Toyo-oka K, Yoshida N, Yamada M, Muramatsu M, Zhang D, Saya H, Toyoshima YY, Kinoshita K, Wynshaw-Boris A, Hirotsune S.
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Journal Title
Mol Cell Biol. 27
Pages: 352-367