2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる遺伝子変異蓄積及び細胞不死化機序の解析
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18012052
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小原 道法 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (10250218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
習田 昌裕 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10356256)
塗谷 秀子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (80270685)
米川 博通 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (30142110)
小原 恭子 熊本大学, 医学薬学研究部, 特任教授 (20225478)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 肝がん / 持続感染複製 / WRN蛋白質 / p53蛋白質 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓細胞に持続感染し、慢性肝炎、肝硬変を引き起こし、高頻度に肝細胞癌を発生させる。我々は、HCVのウイルスゲノムが癌組織で減少する事実を明らかにした。これは、HCV感染細胞のゲノムが、肝細胞の炎症-細胞死-再生の過程で何らかのメカニズムにより不安定化されている可能性を示唆する。我々はHCVのマイクロサテライト不安定化(MSI)への関与を解析する目的で、マイクロサテライトマーカー様配列(CA)の下流にハイグロマイシン耐性遺伝子をアウトフレームに連結したレポーター遺伝子を、レンチウイルス遺伝子導入系を用いて作成し、レポーター遺伝子を肝細胞株に導入後、同細胞にHCV各遺伝子を発現するレンチウイルスを感染させ、MSIアッセイを行った。その結果、HCV Core, NS4B, NS5A, NS5Bの発現に伴いハイグロマイシン耐性コロニーの形成能が上昇した。ゲノム中に挿入されたレポーター遺伝子の塩基配列を決定した結果、NS4B, NS5Aの発現細胞で、アウトフレームからインフレームへのCA長の変化を伴うCA配列の不安定性が認められた。また、酸化ストレスがMSIに関与するとの報告がある事から、各HCV遺伝子発現細胞のROSレベルを酸化ストレスに対する蛍光基質、DCFHを用いたで定量したが、コロニー系性能との顕著な相関は認められなかった。以上から、HCVはNS4B, NS5B等の発現により、酸化ストレスの上昇とは異なるメカニズムによって、MSIを引き起こし、遺伝子不安定化に寄与する事が示唆された。現在、その機序を明らかにする目的で、MSIに関わるミスマッチ修復関連因子群の発現解析を進めている。
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Research Products
(18 results)