2006 Fiscal Year Annual Research Report
siRNA/がん遺伝子デュアル発現システムによる新規発がん機構の解明
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18012056
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
都築 忍 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 室長 (00342965)
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Keywords | siRNA / 小児白血病 / アレイCGH / ライブラリー |
Research Abstract |
(1)TEL-AML1融合遺伝子は小児白血病で最も多く見られる異常であり、プロB細胞性白血病を引き起こす。研究代表者は、TEL-AML1をマウスの造血細胞に発現させることにより、モデルマウスを作成することに成功し、このマウスの解析を通じて、TEL-AML1はB細胞の分化をプロB細胞段階で止める働きがあることを見出した。しかしこれだけでは白血病に至らず、何らかの2次的遺伝子異常が重要であると考えられた。そこで臨床検体を用いてアレイCGH解析を行った。その結果、全例でTEL-AML1融合遺伝子以外に少なくとも2つの異常が見出された。とくに多い異常は正常アレルのTELの欠失と細胞増殖抑制遺伝子であるBTG1やp16Ink4a/p14Arfの欠失であった。そこで、TEL-AML1を発現させ、かつTELの発現を抑制するデュアル発現系を用いて、1次異常と2次異常を重ね合わせた場合の細胞変化を検討した結果、B細胞の分化がより完全に阻害されることを見出した。現在この細胞が白血病にいたるかどうかさらに検討中である。 (2)がん遺伝子単独ではがん化にいたることは少なく、がん抑制遺伝子の欠失が強調的に働くことはよく知られている。どのような遺伝子の欠失ががん化に重要かをスクリーニングするために、siRNAライブラリーを作成し、このライブラリーとがん遺伝子を同時に発現できる系を用いた。IL7依存性細胞株であるPB1細胞を用いてIL7非存在化でもアポトーシスを起こさない細胞を選択し、この細胞からsiRNA配列を読み出した結果、機能未知の遺伝子の存在が示唆された。現在この遺伝子についてがん化との関連をさらに検討中である。
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