2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚癌の浸潤、転移能における表皮接着分子の直接的関与についての解析
Project/Area Number |
18013002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 宏 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (00146672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 真志 北海道大学, 大学院医学研究科, 助教授 (60222551)
芝木 晃彦 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (40291231)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 細胞・組織 / 動物 / 臨床 |
Research Abstract |
本年度の研究では、表皮水疱症(EB)患者から得られた細胞、遺伝子を用いたこれまでの研究に加え、新たに導入した動物マウスモデルを用いて、変異・欠損した基底膜分子が扁平上皮癌の浸潤・転移に与える影響の解析を行った。 1.VII型コラーゲンノックアウトマウスを用いた癌細胞の浸潤、転移能の解析 VII型コラーゲンノックアウトマウスの皮膚にDMBA、TPAを塗布した発癌モデルで化学発癌を誘発し、皮膚癌の浸潤、転移の動態を試みたが、VII型コラーゲンノックアウトマウスの多くが生後3週以内に死亡するため十分な解析が困難であった。そこで、VII型コラーゲンノックアウトマウスに、変異ヒトVII型コラーゲン遺伝子を導入した新たな動物モデルの作成を行った。 2.変異ヒトVII型コラーゲントランスジェニックマウスの作成 表皮基底膜の角化細胞に発現する分子であるケラチン14タンパクのプロモーター下流に正常ヒトVII型コラーゲンcDNAを組み込んだ発現ベクター(pK14-Col7a1)に、VII型コラーゲンタンパクのC末にpremature terminal codonを生じる変異ヒトVII型コラーゲン遺伝子(7444delG)を組み替え、トランスジェニックコンストラクトを作成。完成したコンストラクトをC57BL/6マウスの受精卵にマイクロインジェクションし、皮膚基底膜に変異ヒトVII型コラーゲンを発現するトランスジェニックマウスを作成した。作成した変異ヒトVII型コラーゲントランスジェニックマウスでは明らかなフェノタイプが見られなかったため、VII型コラー・ゲンヘテロノックアウトマウスと交配し、皮膚基底膜に変異ヒトVII型コラーゲンのみを発現するVII型コラーゲンヒト化マウスを作成した。このマウスでは、生後しばらくしてから皮膚のびらん、潰瘍、手指、足趾の癒合、前頭部の脱毛など栄養障害型表皮水庖症患者類似のフェノタイプが認められた。 今後はこのVII型コラーゲンヒト化マウスを用いて以下の検討を行う予定である。 A)トランスジェニックマウスの皮膚にDMBA、TPAを塗布し皮膚癌を誘発する。誘発された皮膚癌の浸潤、転移の動態を臨床的、組織学的に観察しワイルドタイプコントロールマウスと比較する。 B)上述の方法にて誘発された皮膚癌の原発巣、転移巣における各種接着分子の発現を免疫組織学的に検討する。また各組織における遺伝子発現プロファイルをGeneChip、RT-PCR法にて解析する。
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Research Products
(6 results)