2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18013006
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝安 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10221970)
|
Keywords | PP2C / ILK / アポトーシス / ASK1 |
Research Abstract |
癌細胞の特異な形質である無限増殖能を支える分子基盤の一つとして、細胞の生と死の制御システムの破綻が挙げられる。細胞の生存と死の制御には様々なシグナル伝達システムが関与しているが、その中でストレス応答プロテインキナーゼシグナル伝達路(SAPKシステム)およびintegrin-linked kinase(ILK)シグナル伝達路は、それぞれ、細胞のアポトーシス誘導及び生存促進のシステムとして主要な役割を担っている。これまでに、プロテインボスファターゼ2C(PP2C)ファミリーメンバーであるPP2CδがILKシグナル伝達路を負に制御することが報告されている。また、最近、我々はPP2CδがTNFαによるSAPKシステムの活性化をさらに促進する作用を持つことを見出した。 今回、我々はPP2CδによるSAPKシステム活性化の機構について検討を行った。まず、HEK293細胞におけるTNFα依存性のAP1の活性化が、PP2Cδの強制発現によってさらに促進されることを見出した。TNFαによるJNKおよびp38の活性化は二峰性であり、遅延型の活性化が細胞のアポトーシスを誘導することが報告されている。また遅延型の活性化はMKKKであるASK1を介することが知られている。PP2Cδの強制発現はこの遅延型のJNKおよびp38の活性化のみをさらに促進した。そこで次に、PP2CδがASK1活性に与える影響について検討を行った。その結果、PP2CδはTNFα依存性にASK1と会合し、何らかのメカニズムで、ASK1の活性化に必要な自己リン酸化部位であるThr845のリン酸化を亢進させることを見出した。これらの結果は、PP2CδがSAPKシステムおよびILKシグナル伝達路を、それぞれ、正および負に制御し、結果として細胞のアポトーシスの亢進と増殖・生存の抑制を促す司令塔としての役割を果たす可能性を示唆している。
|
Research Products
(5 results)