2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の運動能と浸潤・転移能亢進におけるコフィリン制御系の役割
Project/Area Number |
18013007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 大学院生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Keywords | アクチン骨格 / 細胞運動 / 癌浸潤 / LIMキナーゼ / コフィリン / Slingshot / キナーゼ阻害剤 / 血管新生 |
Research Abstract |
癌の悪性化に伴い、癌細胞は運動能、接着能を変化させ、浸潤・転移能を獲得する。アクチン細胞骨格の再構築は細胞運動、接着の制御において中心的な役割を担っており、癌細胞の浸潤・転移においても重要な役割を果たしていることが知られている。アクチン脱重合因子であるコフィリンはアクチン再構築を制御する主要因子であり、LIMキナーゼによりリン酸化(不活性化)され、Slingshotにより脱リン酸化(活性化)される。本研究では、LIMキナーゼとSlingshotが癌細胞の運動、接着能の制御、浸潤・転移能の獲得において果たす役割を解明し、阻害剤を開発することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。1)ラット中皮細胞層を用いたin vitro浸潤アッセイにおいて、ラット腹水肝がんMM1細胞の遊走能ならびに浸潤能は、LIMキナーゼ、Slingshot、コフィリンの発現抑制により低下し、LIMキナーゼの発現抑制によってMM1細胞のフィプロネクチンへの接着能も低下することを見出した。2)Dronpa-アクチンを用いて生細胞内のアクチン動態を経時観察し、コフィリン活性は細胞質にGアクチンを多量に供給することによってEGF刺激依存的なアクチン重合、ラメリポディア形成に寄与することを解明した。3)蛍光発色を利用した新しい阻害剤探索法を開発し、LIMキナーゼに対する特異的な阻害剤をスクリーニングし、数種の阻害剤を見出した。4)VEGFによる血管内皮細胞の遊走において、p38 MAPキナーゼの下流で、MK2を介したLIMキナーゼおよびSlingshotを活性化する新たなシグナル経路を見出した。
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