2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18013008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩間 厚志 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (70244126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 哲博 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00381583)
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Keywords | 白血病幹細胞 / ポリコーム遺伝子 / Bmil / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
ポリコーム群遺伝子はクロマチン修飾因子としてエピジェネティックな遺伝子発現の抑制維持に関与する。近年、造血・神経等の幹細胞のみならず癌幹細胞の自己複製制御分子としても注目を集めつつある。Bmi1遺伝子欠損造血幹細胞の機能障害は、Bmi1が抑制的に制御する遺伝子であり、Bmi1遺伝子欠損細胞でその発現が著明に脱抑制しているInk4a、Arf遺伝子の両方を欠損した場合(Bmi1-/-Ink4a-Arf-/-)においてほぼ正常に回復する。したがって、Bmi1は造血幹細胞においてInk4a-Arf遺伝子発現の抑制状態を維持することにより幹細胞老化を阻止し、その寿命、すなわち自己複製能の維持を担保するものと考えられる。白血病融合遺伝子MLL-AF9は自己複製能を持たない造血前駆細胞に自己複製能を付与し、白血病幹細胞化することが知られている。本研究では、この系を用いて前駆細胞が癌幹細胞化する過程におけるBmi1の機能を解析した。MLL-AF9に感染した骨髄球系前駆細胞は、in vitroで効率良く形質転換し不死化する。Bmi1遺伝子欠損前駆細胞も野生型と同様に不死化し、Bmi1は骨髄球系前駆細胞のin vitroでの形質転換には必須ではないことが示された。ただ、形質転換の過程で選別をうけた全てのクローンにおいてInk4a-Arf遺伝子発現の抑制が認められたことから、この過程においてもBmi1の制御遺伝子であるInk4a-Arf遺伝子の発現抑制が必須であると考えられた。in vitroで形質転換した野生型細胞を致死量の放射線を照射したマウスに移植すると、全例において白血病が発症した。一方で、in vitroで形質転換したBmi1遺伝子欠損細胞は、Ink4a-Arf遺伝子発現が抑制されているにも関わらず全く生着せず、in vivoでの増殖が認められなかった。したがって、本来自己複製能を持たない前駆細胞が白血病幹細胞としての形質を獲得する過程においては、Bmi1によるInk4a-Arf遺伝子の発現抑制だけでは不十分であり、Ink4a-Arf以外の未同定の遺伝子群の発現が抑制される必用があるものと考えられる。これらの遺伝子はBmi1の制御遺伝子の中でも白血病幹細胞に特異的なものと考えられ、正常と癌幹細胞におけるBmi1機能の違いを示すものとして興味深く、その同定を進めている。
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Research Products
(11 results)