2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドッキング・サイトを介したMAPK経路の特異性維持機構と癌におけるその異常
Project/Area Number |
18013011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武川 睦寛 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30322332)
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Keywords | MAPK / 癌 |
Research Abstract |
哺乳類細胞には、細胞増殖に作用するERKとストレス応答に関与するP38/JNKという少なくとも3種類のMAPKカスケードが存在するが、これら複数のMAPK経路間でシグナルの誤った混線は起こらない。細胞増殖と死の制御に重要な機能を持つMAPK経路が如何にして誤ったシグナル伝達を回避し、正確な情報伝達を可能にしているかを明らかにすることは、細胞癌化メカニズムの解明にも大いに貢献すると考えられる。本研究においては、MAPKKK-MAPKK分子間の特異的結合を規定し、MAPK経路の正確なシグナル伝達を可能にする未知分子機構の解明を行った。 これまでに、各MAPKK分子のC末端に位置する約20アミノ酸の領域が、上流のMAPKKK分子との選択的結合を規定する新規ドッキング・サイト(DVDサイト)であることを見出し、このサイトを介したMAPKKK-MAPKK分子間の結合が、MAPK経路のシグナル特異性の維持のみならず、効率的シグナル伝達にも必要であることを明らかにした。また、ドッキング・サイトに相同なアミノ酸配列を持っ合成ペプチドを細胞に導入して、MAPKKK-MAPKK間の結合を人工的に阻害することにより、ストレス刺激、サイトカインや増殖因子等によるMAPKKの活性化を強く抑制し得ることを見出した。 さらに、MAPKK分子内に、これまで報告されていない未知のリン酸化サイトが存在する事を見出し、同部位に対するリン酸化特異抗体を樹立することに成功した。また、リン酸化を担う複数のキナーゼ会子を同定し、このサイトのリン酸化が刺激依存的に制御されていることを見出した。アラニン変異体を用いた解析により、このようなリン酸化がMAPKK分子の機能に影響を与え、MAPK経路の活性制御に重要な役割を果たしていることを示唆する知見が得られた。
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Research Products
(3 results)