2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18013012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 滋 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60212049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半下石 明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20344450)
増田 茂夫 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (10396749)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 内科 / 臨床 |
Research Abstract |
本研究実施以前までの研究において我々は、ヒトT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)において、成人・小児を問わず高頻度でNotch1遺伝子の活性化型変異があることを示した。Notch1は未熟T細胞での発現が高く、胸腺におけるT細胞初期分化に必須である。一方、4種類同定されているNotch遺伝子の中でNotch2は成熟B細胞での発現が高く、以前我々はNotch2が一部の成熟B細胞の形成に必須であることを示した。 そこで本研究では、Notch2の活性化型変異が成熟B細胞腫瘍の発症や進展に関与する可能性を考え、多数例の造血器腫瘍患者においてNotch2遺伝子の活性化型変異やコピー数変化の有無を解析し、Notch2遺伝子変異の疾患特異性や生物学的意義を明らかにすることを目指した。 代表的成熟B細胞リンパ腫であるびまん性大細胞性B細胞性リンパ腫(DLBCL)の8%において、Notch2遺伝子に変異を認めることを見出した。この変異により、Notch2は機能亢進を示した。さらに、Notch2変異を有するサンプルの一部では、変異をもつNotch2アレルのコピーが増加していた。これらは、Notch2変異とそのコピー数増加が、多段階クローン選択に関わることを示唆する。 さらに、Notch遺伝子変異を有する腫瘍のin vivo治療モデル実験を行い、Notchシグナル阻害剤(γセクレターゼ阻害剤)の有効性を示した。γセクレターゼ非依存性で構成的活性化型Notch導入腫瘍細胞に対する治療モデルから、γセクレターゼ阻害剤の腫瘍増殖抑制機序としては、腫瘍細胞内のNotchシグナル遮断による効果の他に、腫瘍血管新生阻害による効果が加わった結果であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)