2006 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性脂質リゾホスファチジン酸による血管新生・細胞浸潤・転移制御とその意義
Project/Area Number |
18013018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東京大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (20250219)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 / オートタキシン / 血管新生 |
Research Abstract |
リゾボスファチジン酸(LPA)は、in vitroで細胞増殖、細胞運動性の亢進など多彩な機能を発揮するユニークな生理活性脂質である。LPAの作用は、G蛋白質共役型受容体を介するヒとが知られており、近年、LPA受容体ノックアウトマウスを用いた解析から、LPAが脳神経系の発達や生殖系の発育に必須であることが明らかになってきた。LPAは血清中に多く含まれていることが知られているが、本研究者はこれまで血清中のLPA産生経路を解析し、血清LPAは様々な経路で産生されることを明らかにしてきた。また、血清中の主要なLPA産生酵素リゾホスホリパーゼD (lysoPLD)の同定を行った。lysoPLDは血中に数百μMと高濃度で存在するリゾホスファチジルコリン(LPC)をLPAに変換する酵素であり、本酵素を精製した結果、lysoPLDは癌細胞運動性促進因子であるautotaxinと同一であることがわかった。今年度は、autotaxin/lysoPLDノックアウト(KO)マウスの解析を行い、KOマウスが胚致死であること、autotaxin/lysoPLDヘテロマウスはlysoPLD活性やLPAレベルが野生型の半分になるにもかかわらずほとんど表現型を示さないことを明らかにした。そこでさらに、autotaxin/lysoPLDの機能を考える上で、本酵素の基質であるLPCの産生機構を理解することも重要であると考え、生体内におけるLPCの産生経路を解析した。その結果、LPCは複数の経路で産生されることを明らかにした。さらに、このうち特定の経路で産生されたLPCだけがautotaxin/lysoPLDの基質となることを見出した。さらにautotaxin/lysoPLDがグリオブラストーマなどある種の悪性がんに発現が極めて高いこともわかった。
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Research Products
(6 results)