2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい血管内皮細胞由来因子EGFL7のがん血管新生における機能解析
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18013021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HEISSIG Beate The University of Tokyo, 医科学研究所, 産学官連携研究員特任助教 (30372931)
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Keywords | マトリックスメタロブロテイナーゼ / プラスミノーゲン / Egfl7 / プラスミン / Kit-ligand / 血管新生 / 血管内皮増殖因子 / アデノウィルスベクター |
Research Abstract |
本研究では、新規血管新生因子Egfl7のがん血管新生、がん増殖における役割を理解し、生体内血管新生機構の新たな一面を解明することによって、これを標的とする抗がん新規分子療法の開発まで目標の範疇としている。今年度、研究代表者らは、Egfl7の下流シグナルであるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性化機構に注目し、生体内におけるMMPの活性化と線維素溶解系(線溶系)因子プラスミノーゲン(Plg)/プラスミン系との関連性について精査し、Egfl7シグナルとの相互作用の解明を進めた。実験ではPlg遺伝子欠損マウス(Plg-/-)とその野生型を使用し、生体骨髄内で潜在酵素ProMMPからのMMPの生成が、Plg/プラスミン系によって制御されていることを確認した。またこれらのマウスに一定量の抗がん剤を投与した際、Plg-/-では骨髄内血管新生及び組織再生に著しい障害が存在し、さらにこの原因としてPlg-/-生体では、MMPの活性化の障害とこれに伴う細胞増殖因子Kit-ligandのプロセシングが抑制されていることを明らかにした。さらに研究代表者らは、線溶系の亢進によって、MMPの活性化とKit-ligand分泌の促進が生体内で誘導され、結果として血管新生及び腫瘍増殖が促進されることを示した。予備実験では、Egfl7発現ウィルスベクターの使用により、前年度で報告した各種がん関連ニッチの構成細胞の末梢組織への動員及び浸潤もEgfl7によって制御されている可能性が示唆された他、生体内でEgfl7がMMPの活性化を介して血管新生に関与するとの見方が有力となってきている。本研究成果は、Egfl7の血管新生機構における機能解析においても、さらにはこれを標的とした分子薬剤の有用性を支持するものであり、がん治療法開発の基礎研究として重要な情報を提供したと言えよう。
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Research Products
(11 results)