2006 Fiscal Year Annual Research Report
ASC依存性APー1活性化機構の解明とASCのがん分子標的としての可能性の検討
Project/Area Number |
18013022
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須田 貴司 金沢大学, がん研究所, 教授 (70250090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 龍 金沢大学, がん研究所, 助手 (10311680)
木下 健 金沢大学, がん研究所, 助手 (20311681)
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Keywords | 癌 / アポトーシス / 炎症 / シグナル伝達 / ASC / Apaf-1様蛋白 / AP-1 |
Research Abstract |
ASCはCARD12等と結合してアポトーシスと炎症のシグナルを伝達する細胞質アダプター蛋白である。我々は、CARD12とmuramyl dipeptide(MDP)刺激で活性化するNod2の融合蛋白(C12N2)を用い、MDPでASCを特異的に活性化する実験系を開発し、ASCはがん細胞にアポトーシスとIL-8産生を誘導し、その両方にカスパーゼ8が必要であること、ASCを介したIL-8プロモーター活性化にNF-κBとAP-1の活性化が寄与していることを示してきた。今回さらに、ASCを介するAP-1の活性化は細胞自立的で、NF-κBの活性化とは独立した応答であること、この応答にはカスパーゼ8が必要で、FADDやRICKは必要ないこと、この応答はp38およびJNK阻害剤で阻害されることなどが判明した。ASCはミトコンドリアでBaxと共局在すると報告されていたが、我々の検討ではASCとBaxとの共局在は認められず、ASCはカスパーゼ8とスペックと呼ばれる凝集塊に共局在した。次に、ASCを標的としたがん治療の可能性を検討する目的で、内在性にASCを発現するNUGC4ヒト胃がん細胞株にC12N2遺伝子を導入した安定形質転換株、NUC12N2を樹立した。NUC12N2細胞をMDPで刺激するとIL-8の産生とアポトーシスが誘導された。また、NUGC4細胞とNUC12N2細胞をヌードマウスの背部皮内に移植し、移植3日後に200μgのMDPまたは対照としてPBSを静脈内または皮下投与したところ、投与経路に関わらずMDPを投与したマウスでは、NUGC4細胞の腫瘍塊は増殖し続けたのに対し、NUC12N2細胞の腫瘍塊は速やかに退縮した。一方、PBSを投与したマウスではNUGC4細胞の腫瘍塊もNUC12N2細胞の腫瘍塊も増殖し続けた。すなわち、ASCはがん医療の有望な標的分子であると考えられる。
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Research Products
(6 results)