2006 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βとFasによるアポトーシス誘導調節の分子機構解析
Project/Area Number |
18013026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 生体分子 |
Research Abstract |
TGF-β3は細胞の増殖抑制や分化誘導に機能するが、ある種の細胞ではアポトーシスを誘導する。TGF-βが多様な活性を作用できるがアポトーシスを誘導できないマウスBリンパ腫由来細胞株A20において、TGF-βがアポトーシスを誘導する条件を検討した結果、IFN-γの前処理やTGF-βが活性化するJNKを抑制した条件下で、TGF-β処理によってアポトーシスの誘導されることを見いだした。そこで、TGF-β刺激によって発現が誘導されるがJNK活性抑制条件下ではその発現上昇が抑制される遺伝子をDNAアレイ法で網羅的に解析し、107種類の遺伝子を同定した。その中で、線虫で抗細胞死遺伝子として同定されたces-1の相同遺伝子であるsnail-2(Slugタンパク質をコードする)に注目し、解析を行った。外来性Slugを強発現させると、JNK阻害下にTGF-βが誘導するアポトーシスが阻害されること、またshRNAの発現によってSlugの発現を抑制するとTGF-β単独刺激によりアポトーシスが誘導されることを示した。TGF-βは、アポトーシス誘導シグナルを導入しているが、同時にSlugの発現誘導を介する抗アポトーシスシグナルを導入しており、Slugの作用が強い細胞ではアポトーシスは阻害され、他の生理機能の発揮されることを明らかとした。 一方、death receptor Fasのアポトーシス誘導調節機構の解析の中で、ヒトT細胞腫由来Jurkat細胞やH9細胞の増殖に、caspase-10が必須であることを見いだした。今後、この分子機構を解析していく予定である。
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