2007 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βとFasによるアポトーシス誘導調節の分子機構解析
Project/Area Number |
18013026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
TGF-βは細胞の増殖抑制に機能するが、ある種の細胞ではアポトーシスを誘導する。TGF-βによるアポトーシス誘導の分子機構が不明で混沌としていた状況の中で、TGF-βがSmad→Bim→caspase-9の経路でアポトーシスを誘導することを我々は報告した。しかし、細胞種が異なれば何故TGF-βが細胞死ではなく細胞増殖抑制のみを誘導するのかについては不明である。一方、TGF-βがアポトーシスを誘導しない細胞では、Bimを介するアポトーシス誘導を抑制するシグナルがTGF-β→JNKの活性化を介して同時に導入されていることを示すデータを我々は得ている。そこで、TGF-β→JNK活性化によってTGF-β→Bimによるアポトーシスが阻害される分子機構を解明する。具体的には、TGF-βで発現が誘導される遺伝子で、JNKの活性化を阻害すると発現が下がる遺伝子や上昇する遺伝子を同定し、その中からTGF-β→Bimによるアポトーシスの阻害や増強に機能する遺伝子を明らかにする。 TGF-β刺激やJNK抑制下のTGF-β刺激によって発現が誘導される遺伝子をDNAアレイ法で網羅的に解析し同定した。JNK阻害で発現が抑制される遺伝子のなかから、強制発現時にJNK阻害下のTGF-β刺激によるアポトーシスを阻害する遺伝子Slug(Snai12)を同定した。また、JNK阻害下に初めてTGF-β刺激で発現が誘導される遺伝子の中から、その強制発現のみで、あるいは強制発現とTGF-β刺激のみでアポトーシスを誘導する遺伝子Bimを同定した。そして、Slugが、主にBimの発現をよくせいすることによってTGF-β誘導アポトーシスを阻害することを示した。
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