2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18013027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 助手 (10372591)
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Keywords | 遺伝学 / 発生・分化 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
生殖細胞は通常は配偶子形成のために高度に専門化された細胞であるが、発がんと共に奇形腫を生じ、Embryonal carcinoma細胞などの多能性細胞を産生する能力も併せ持つことが知られている。しかし生殖細胞の発癌と多能性ポテンシャルがどのように制御されているかは殆ど理解されていない。研究代表者は新生児精巣から精子幹細胞を試験管内で長期に増幅する培養系(Germline Stem, GS細胞培養系)を確立し、その樹立過程でEmbryonic stem (ES)細胞と同様な奇形腫形成能と多分化能をもつ細胞が出現することを見いだした。生殖細胞の発癌がどのようにして細胞分化プログラムの破綻につながり、多能性細胞へと変化するのかを解析するのが、本研究の目的である。 18年度の研究では、GS細胞に遺伝子を導入しクローナルにマーキングすることにより、mGS細胞の起源はGS細胞であることの証明に成功した。この結果は幹細胞が腫瘍化することで分化能の転換を起こすことを直接的に示すものである。現在この二つの細胞でepigeneticな差異を調べ、転換の誘因を探求している。 またAktがGDNFの下流で精子幹細胞の自己複製を司るシグナル分子であることを明らかにした。しかしこの経路のみの活性化ではmGS細胞への変化は生じなかった。またNariogやOct-4など単独の遺伝子発現ではGS細胞からmGS細胞への変化は誘導できないことから、他の遺伝子や複数の遺伝子の共発現の作用も検討する必要があると考えられる。 一方mGS細胞を用いて相同組み替えによる遺伝子ノックアウトマウスの作成の成功し、この細胞がES細胞と同等の実用的価値を持つことを示した。
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