2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着・運動におけるDockファミリー蛋白質の機能及びその活性制御機構の解析
Project/Area Number |
18013028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 癌 |
Research Abstract |
がん細胞の浸潤・転移に深く関連のある細胞接着や運動に関して、Rhoファミリーの低分子量G蛋白質の関与がこれまでにも数多く報告されている。最近Dock180に代表される、新しいタイプのRhoファミリーG蛋白質活性化因子(Dockファミリー)の存在が明らかになった。我々はこれまでに、RhoファミリーG蛋白質の1つRhoGがRac1を活性化することに着目し、そのメカニズムの解明を行う過程でRhoGがその標的蛋白質ELMOを介してDock180を活性化することを見出した。今回我々はDock4のN末端領域が、Dock180のELMOと結合する領域とアミノ酸配列の相同性が高いことに着目し、Dock4もDock180と同様RhoG-ELMOの経路によって制御されている可能性を検討した。その結果、Dock4とELMOの結合をin vitro及び細胞内においてpull-down法及び免疫沈降法で確認した。またin vitro及び細胞内においてDock4がRhoファミリーG蛋白質の中でRacを特異的に活性化することを見出した。さらにそのRacに対する活性は、活性型RhoGによって促進されることも明らかとなった。一方Dock4の細胞内局在を調べたところ、ELMO-Dock4複合体は上流からのシグナルがない状態では細胞質に存在するが、活性型RhoGが存在するとその局在が細胞膜へと移行することも明らかとなった。次にDock4の細胞における機能を明らかにする目的で、RNA干渉によりDock4の発現を特異的に抑制させたNIH3T3繊維芽細胞を樹立し、それを用いて解析を行った。その結果、コントロールの細胞は親細胞と変わらない運動能を示したが、Dock4ノックダウン細胞はその運動能が有意に抑制されていることが確認された。またDock4ノックダウン細胞ではRhoGによるRac1の活性化においても有意に抑制されていた。以上の結果から、RhoGはDock180以外にDock4の活性も制御しており、細胞運動の調節においてRhoG-ELMOを介したDockファミリーの活性制御が重要な役割を担っていると考えられる。
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[Journal Article] Sema4D/plexin-B1 activates GSK-3beta through R-Ras GAP activity, inducing growth cone collapse.2006
Author(s)
Ito, Y., Oinuma, I., Katoh, H., Kaibuchi, K., Negishi, M.
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Journal Title
EMBO Reports 7
Pages: 704-709
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