2007 Fiscal Year Annual Research Report
マップキナーゼ経路の新規制御因子・阻害薬の分子遺伝学的スクリーニング
Project/Area Number |
18013032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 高義 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50144564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春藤 久人 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (70206259)
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Keywords | マップキナーゼ / 制御因子 / 低分子量GTP結合たんぱく質 / ファルネシル化 / ホスファターゼ / タンパク質リン酸化 / がん / 阻害薬 |
Research Abstract |
(1)Pmk1シグナル伝達における新規の制御因子を同定することを狙った遺伝子スクリーニングを開発し、vic(免疫抑制薬や塩素イオンの存在下で生存可能の意)変異体を単離した。その変異体の1つであるvicl-1は、タンパク質フアルネシル基転移酵素のβ-サブユニットをコードしているcpp1^+遺伝子にミスセンス変異を起こさせ、Cpp1の155番目のアスパラギン酸のアスパラギノへのアミノ酸置換をもたらした(Cpp1(D155N))。また、生化学的解析により、Rho2はCpp1の新規の標的分子であることを明らかにした。以上の結果は、Cpp1が低分子量GTPアーゼであるRho2の空間的制御を介したPck2-Pmk1シグナル伝達の主要成分であることを示唆するものである。 (2)Wis1-Spc1-Atf1ストレス活性型MAPキナーセシグナル経路を不活性化する因子として既に知られている2C型プロテインボスファターゼ(PP2C)をコードしているptcl^+とptc3^+過剰発現が、カルシニューリン欠損下においてCl^-過感受性を抑圧することを示した。また、これら2つのPP2Cs、およびSpc1の他の負の制御因子であるpyp2^+のmRNAレベルがPmk1依存的であることも示した。特に、Spc1ではなくAtf1の欠損下では細胞壁損傷薬に対して過感受性を示し、カルシニューリン欠損下においてC1^-過感受性をも抑圧した。これらはいずれもPmklMAPキナーゼ経路の構成要素の変異によって分けられる特徴的な表現型である。以上の結果から、PP2CがPmklシグナル伝達において負のフィードバックループに関わっており、またAtf1はPmklMAPキナーゼ経路の下流にある細胞完全性シグナル伝達の主要成分であることが示唆された。(3)マップキナーゼ経路の阻害薬のスクリーニング系を確立し、複数個のリード化合物を同定した。現在はその構造解析と化学合成を進めている。
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Research Products
(10 results)