2006 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫におけるリンパ管新生とリンパ節転移抑制を目指す抗VEGF-A療法の開発
Project/Area Number |
18013037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平川 聡史 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50419511)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / 発現制御 / 動物モデル / 血管新生 |
Research Abstract |
(1)表皮特異的Vascular endothelial growth factor(VEGF)-Cマウスを用いた多段階皮膚化学発癌 リンパ管新生及びリンパ行性転移においてVEGF-Cが果たす役割を検討するため、表皮特異的K14プロモーターを用いたVEGF-C,GFPを強発現するダブルトランスジェニックマウス(TG)を作成した。野生型対照群と共に多段階皮膚化学発癌を行った結果、VEGF-C TGは野生型と同様の腫瘤形成に留まった。しかし、VEGF-C TGに生じた扁平上皮癌は、原発巣に際立ったリンパ管新生を誘導し、所属リンパ節への転移頻度を高めた。このことから、VEGF-Cにより誘導された新生リンパ管は、リンパ節転移を促進することが明らかになった。さらに遠隔(胸腔内)リンパ節を評価すると、VEGF-C TGでは野生型に比し、有意に転移巣が確認された。VEGF-C TGではリンパ節転移巣で新たにリンパ管新生が誘導されること、リンパ節内でのリンパ管新生は、リンパ系における腫瘍進展の新たな要因になることが明らかになった。さらにVEGF-C TGの所属リンパ節では、転移に先立つリンパ管新生の誘導が明らかとなった。 (2)VEGF-A/STAT3を介したヒト皮膚由来リンパ管内皮細胞の機能制御 STAT3のリンパ管内皮細胞における同定を細胞染色で行い、定常状態でSTAT3は既にリン酸化され、細胞質に局在することが見出された。次に、VEGF-Aによるリン酸化STAT3の核内移行を検討した。VEGF-A刺激後30分からリン酸化STAT3の核内移行が確認され、60分後プラトーに達した。細胞核内分画から蛋白質を抽出し、リン酸化STAT3に対する特異抗体を用いてWestern blotを行うと、VEGF-A刺激後60分から明瞭にリン酸化STAT3が検出された。今後、さらにSTAT3による細胞遊走機構の解明を目指す。
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