2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的ストレスによる細胞死と消化管がん抑制機構におけるMUTYHの働き
Project/Area Number |
18013038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中別府 雄作 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 可道 九州大学, 医学研究院, 准教授 (00207820)
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Keywords | 酸化ストレス / 8-オキソグアニン / 大腸腺腫症 / 発がん抑制 / 細胞死 / 核ゲノム / ミトコンドリアゲノム |
Research Abstract |
自然突然変異の主要な原因の1つである酸化塩基8-オキソグアニンがゲノムDNAに蓄積すると複製に伴い鋳型DNA鎖中の8-オキソクアニンに対してシンとアデニンが同程度に取り込まれる。我々は,核あるいはミトコンドリアゲノムDNA中に一定量の8-オキソグアニン:アデニン対合が蓄積するとアデニンDNAグリコシラーセ活性を有するMUTYHが開始する塩基除去修復の過程デゲノム中にDNA一本鎖切断が蓄積し、結果として以下の異なる2つの経路で細胞死誘発されることを明らかにした。核ゲノムに8-オキソグアニン:アデニン対合が蓄積するとMUTYHにより開始される塩基除去修復の過程で蓄積したDNA一本鎖切断はポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)により認識され、その結果活性化されたPARPに依存してApoptosis-inducing factorの核移行を伴う細胞死が誘発された。一方、ミトコンドリアゲノムに8-オキソグアニン:アデニン対合蓄積するとMUTYHに依存してミトコンドリアDNAが分解された。ミトコンドリアDNAの枯渇はミトコンドリア機能異常、すなわちATPの枯渇を引き起こし、ミトコンドリア膜の透過性の上昇をきたした。その結果、ミトコンドリアCaイオンが細胞質へ流出し、Ca依存性プロアーゼのカルパインの活性化に依存した細胞死誘発された。 MUTYH欠損マウスでは自然および酸化ストレス誘導性の突然変異率ともに野生型より顕著に上昇しており、さらに消化管腫瘍も多発することを明らかにした。また、APC遺伝子変異陰性の家族性大腸腺腫症家系におけるMUTYH変異のスクリrニングを行い、一例の家系においてMUTYHの磯能喪矢を引き起す劣性変異を国内で始めて同定した。 以上より、酸化ストレス下でゲノムDNAに蓄積した8-オキソグアニン:アデニン対合は突然変異を高頻度に生じるだけでなく,細胞死を誘発することが明らかになった.MUTYHは8-オキソグアニン:アデニン対合の蓄積を感知して細胞死のプログラムを起動させることでこのような突然変異を引き起こしやすい細胞を生体内から排除し、結果として発がんおよびがんの進展を抑制することが明らかになった。
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