2007 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍細胞に高発現するdecoy kinase TRB3の機能解析
Project/Area Number |
18013045
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 秀敏 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80198853)
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Keywords | TRB3 / 細胞周期 / M期 / CDC25A / TGFB / Smad7 / タンパク分解 |
Research Abstract |
小胞体ストレスによって発現誘導され,小胞体ストレス誘導性のアポトーシスを調節する分子として申請者らが見出したpseudokinase TRB3はある種の腫瘍で高発現していることが知られている。そこで,がん細胞でのTRB3の機能をまず,細胞周期の観点から検討した。TRB3のDrosophila のorthologであるTribblesが細胞周期の正の制御ボスファターゼStdng/CDC25の分解を促進し,M期への進行を制御することが報告されていることから,HeLa細胞においてcDc25AとTRB3を強制発現させると,CDC25Aの発現が低下する傾向が見られた。一方,RNAi法を用いてTRB3をknockdownさせると,内因性のCDC25Aの発現が増加した。また,これまでの結果からTRB3が細胞周期依存的に発現し,特にG2/M期における発現がCDC25Aの発現と逆相関することが見出された。Double thymidine法で細胞周期をGl/S期で同調し,TRB3をknockdownして周期変化を調べると,CDC25AのM/G1期における発現低下がTRB3のknockdownにより抑制されると同時に,細胞周期の進行がG2/M期で遅延することが示された。これらの結果からTRB3がG2/M期における細胞周期の進行に関与しており,その機序の一つとしてこの時期のCDC25Aの発現制御を阻害する可能性が示唆された。 次に,細胞増殖阻害作用を示すTGFβへのシグナルへの効果を検討したところ,TRB3は強い阻害作用を示すことがわかった。TRB3はTGFB誘導性の負のシグナル制御因子Smad7と強く結合し,TGFβ誘導性のSmad7の核外移行を抑制することにより,核内でのSmad7の作用を増強することによりTGFβのシグナルを阻害することが示唆された。
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Research Products
(17 results)