2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18013048
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
柳 茂 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)
|
Keywords | ミトコンドリア / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
ミトコンドリアはエネルギーを産生する重要な細胞内小器官であり、進化論的には好気的バクテリア細胞が真核細胞に共生することによって獲得されたと考えられている。しかしながら、機能低下もしくは傷害を受けたミトコンドリアは活性酸素を漏出することにより細胞に障害を与えることが知られている。最近、私たちは傷害を受けたミトコンドリアの排除機構に関わる蛋白質(ミトコンドリアセプチン)を見いだした(Genes Cells 2003)。ミトコンドリアセプチンは傷害ミトコンドリアを特異的に認識し、独特の封入体を形成し細胞外へと放出、あるいはリソソームとの融合を促進する活性が認められた。癌細胞において傷害ミトコンドリアを消去する活性が促進していることを見いだしているので、このメカニズムを抑制することによる新しい概念に基づく癌化防御法の確立が期待できる。また、現在ミトコンドリアセプチン欠損マウスを解析中であるが、予備的な実験結果において、ある種の自己免疫疾患との類似性が示唆されている。一方、ミトコンドリア側にも宿主の監視を免れようとするメカニズムに関与する新規のミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLを同定している(EMBO J 2006)。今後、ミトコンドリアセプチンやミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLの解析をすすめ、ミトコンドリアをバクテリアの一種と捉えなおすことにより、新しいミトコンドリア生物学の展開が期待できるかもしれない。
|