2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクチニン4とβカテニンの作用による大腸がんの浸潤転移の分子機構解明
Project/Area Number |
18013052
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
山田 哲司 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 化学療法部, 部長 (30221659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 一文 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 化学療法部, 室長 (10260936)
尾野 雅哉 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 化学療法部, 室長 (00270900)
下重 美紀 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 化学療法部, 研究員 (00392340)
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Keywords | 大腸がん / actinin-4 / β-catenin / splicing factor-1 / pre-mRNA splicing / T-cell factor-4 / 質量分析 / プロテオミクス |
Research Abstract |
研究目的 APC (adenomatous polyposis coli)がん抑制遺伝子産物の失活により腸上皮細胞内にβ-cateninタンパク質が蓄積し、転写因子T-cell factor-4(TCF-4)の転写活性を誘導することが大腸発がんを引き起こすものと考えられる。TCF-4の転写活性化に伴うプロテオーム変化の全体像を把握し、治療や予防の標的となる分子を同定することを目的とし、研究を行った。 研究方法と結果 大腸がん細胞(DLD1)にβ-catenin結合部位を欠きdominant negativeに働くTCF4BΔ30を発現させた時変化するタンパク質発現プロファイルを同位体標識(ICAT : isotope-coded affinity tags法)と質量分析を用いたプロテオーム解析にて4000個以上のペプチドを網羅的に検索し、発現が2倍以上変化する66種のタンパク質を同定した。これらの中でβ-catenin/TCF-4複合体により発現が負に制御されるsplicing factor-1(SF1)に注目した。SF1の発現は腸上皮の分化により誘導され、腫瘍細胞では発現が失われていた。SF1はβ-catenin/TCF-4核複合体の構成分子であり、その転写活性および細胞増殖活性を負に制御し、さらにβ-catenin/TCF-4が制御するpre-mRNA splicingの実行分子であることを明らかにした。また個体レベルでの機能を解析するために、SF1の遺伝子破壊マウスを作成した。 考察 SF1がβcatenin/TCF-4の転写活性とpre-mRNAスプライス活性の両方の制御分子であることを明らかにした。SF1はβ-cateninの細胞内蓄積によるTCF-4の転写活性を抑制し、その発現低下が大腸発がんに関わることが示唆された。今後SF1の遺伝子破壊マウスを用い、発がんへの関与を証明したい。
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Research Products
(8 results)