2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシドGM3合成酵素遺伝子診断による非小細胞肺癌の抗癌剤感受性の予測
Project/Area Number |
18014001
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井ノ口 仁一 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (70131810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘毅 札幌医科大学, 医学部, 教授 (60231396)
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 抗癌剤感受性 / ガングリオシドGM3(SAT-I) / SAT-I遺伝子 / 遺伝子診断 / EGFR / イレッサ(ゲフィチニブ) / アデルカルシノーマ(腺癌) |
Research Abstract |
これまでに当研究室においてSAT-I mRNA発現量とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤感受性が負の相関性を示すことが明らかとなった。そこでSAT-I高発現モデル細胞を用いて作用機序の解明を試みた。 以前の報告で樹立したマウスGM3再構成肺癌細胞J5/SAT-Iを用いて、EGFRにおけるシグナルについて検討を行った。はじめに、EGFR発現量をウェスタンブロット法により確認したところ、GM3再構成細胞では蛋白質発現量が増加していた。一方で、EGFR mRNA発現量には顕著な差が認められなかったことから、GM3再構成細胞ではEGFRは蛋白質レベルで発現量が亢進していることが示唆された。また、ゲフィチニブ24時間処理における感受性試験を行った結果、GM3再構成細胞ではゲフィチニブに対する感受性が亢進していることが明らかとなった。 そこで、GM3再構成細胞におけるゲフィチニブ感受性亢進機序を明らかにするため、EGFRの自己リン酸化について検討した。EGF刺激により、GM3再構成細胞ではMockと比較してEGFRが強くリン酸化されていた。また、ゲフィチニブ処理におけるEGFRのリン酸化を検討した結果、GM3再構成細胞ではMockと比較して強く抑制されていることが明らかとなった。以上の結果から、GM3再構成細胞ではEGFRを介するシグナル伝達経路への依存度が高く、ゲフィチニブによるEGFRシグナル経路の特異的遮断により、感受性が亢進している可能性が考えられた。 また、SAT-I mRNA発現量とゲフィチニブ感受性について明らかにするため、非小細胞肺癌患者の組織検体についてSAT-I mRNA発現量を測定し、ゲフィチニブの奏功率を含め、臨床成績との比較検討を現在進行中である。
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