2006 Fiscal Year Annual Research Report
臨床検査への実用化を目指した消化器癌の低分子量ペプチド腫瘍マーカーの開発
Project/Area Number |
18014007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
朝長 毅 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (80227644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 英昭 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20292691)
小寺 義男 北里大学, 理学部, 講師 (60265733)
松下 一之 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (90344994)
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Keywords | プロテオーム / 消化器癌 / 早期診断 / 早期診断 / ペプチド |
Research Abstract |
本研究では、種々の消化器癌患者血清・血漿を用い、下記に示すプロテオーム解析技術を駆使して、癌の早期診断や再発の予測に有用な新しい腫瘍マーカーとなる低分子量ペプチドを同定することを目的とした。 1.プロテインチップ^<【○!R】>システムによる消化器癌の新規腫瘍マーカーの開発 種々の消化器癌症例の術前および術後経時的に採取した血清をプロテインチップ<【○!R】>システムを用いて解析した。その中で、膵臓癌の術前に高く、術後に低下するペプチドを見出し、同定した結果apolipoprotein C1(ApoC-1)であることが判明した。また、血清中のこのペプチドの量が少ない患者群の方が有意に予後がよいことが判明した。この結果から、このペプチドは膵臓癌の予後予測に有用な新規腫瘍マーカーになりうると考えられた。また、抗ApoC-1抗体を用いて膵臓癌組織の免疫染色を行った結果、ApoC-1は癌組織で特異的に発現していることが明らかになった。さらに、膵癌培養細胞の培養上清を調べたところ、培養上清中にそのペプチドが分泌されていることが判明した。以上の結果から、このApoC-1は膵臓癌の予後予測に有用な画期的な新規腫瘍マーカーになると考えられた(論文投稿中)。 2.独自のペプチド抽出法を用いた消化器癌の新規腫瘍マーカーの開発 血清や血漿を用いたプロテオーム解析の問題点として、血中のタンパク質の大部分を占めるアルブミンやグロブリンなどの高分子量キャリアタンパク質が邪魔になって量の少ない低分子量タンパク質やペプチドの検出が困難であることがあげられる。そのため、これらのタンパク質を効率よく除去する方法が必須であるが、圧倒的に多く存在しているキャリアタンパク質の中からペプチドだけを取り出すことは非常に難しい。我々は低分子量ペプチドを損失することなく高分子量タンパク質を効率よく除去する方法を確立し、この方法を用いて大腸癌患者血清中に特異的に変化するペプチドの単離・精製・同定に成功した(日本癌学会発表2006)。
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