2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発の染色体テロメアGテイルの測定を指標としたがん・染色体異常のリスク評価
Project/Area Number |
18014019
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田原 栄俊 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
|
Keywords | テロメア / G-tail / がん |
Research Abstract |
がん化のリスクの一つである染色体の不安定化の原因はいくつか知られているが、染色体の末端に存在するテロメア一本鎖突出DNA(G-tail)が、重要視されている。G-tailは、染色体末端のわずか数百塩基の一本鎖テロメアDNAであるためにそれらを正確に測定する良い方法がこれまでなかった。そこで、我々は迅速、簡便、高感度かつ高精度にG-tailを測定する方法としてG-tail telomere HPA法を開発した。この方法は、一つのチューブに約3-5マイクログラムのゲノムDNAを入れて、アクリジニウムエステルラベルしたテロメアプローブを含むhybridization bufferを加えて60度で20分間加温、次に加水分解bufferを加え60度で10分間加温した後ルミノメーターで測定する非常に簡便な方法である。この方法を用いて、ヒト繊維芽細胞、乳腺上皮細胞、血管内皮細胞などで細胞老化に伴うG-tailの短縮が起こっていることを明らかにできた。また、がん細胞株では、テロメアG-tailの長さはテロメアの長さに比例していることを明らかにした。本研究の目的は、非癌患者と癌患者において血液を採取し、テロメアおよびテロメアG-tailの短縮が起きているかどうかを比較検討することである。まず、血液や組織など臨床検体を用いたG-tail測定のために、G-tail telomere HPA法に適したDNAの精製法を検討し、安定なデータが得られるDNA精製法の確立に成功した。次に、健常人や癌患者から血液を採取してDNAを精製し、テロメアおよびテロメアG-tailの測定を行った。現在、約100人程度のデータを得ており、G-tailの長さに年齢差や個人差が見られる予備的なデータを得ている。さらに、テロメアに結合するタンパク質POT1の解析から、G-tailの長さ調節にはテロメア結合タンパク質が重要であることも明らかにできた。
|
Research Products
(7 results)