2006 Fiscal Year Annual Research Report
投薬タイミング規定因子を用いた癌化学併用療法の構築
Project/Area Number |
18014021
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤 秀人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90346809)
|
Keywords | dosing schedule / chronopharmacology / docetaxel / adriamycin / cardiotoxicity |
Research Abstract |
投薬間隔の違いによる抗腫瘍効果 これまでの研究成果より、docetaxe(DOC)投与後Adriamycin(ADR)を投薬することで従来の併用法と比較して毒性死を有意に軽減できることが明らかとなっている。そこで、DOCとADRの投薬間隔を0, 6, 12, 24時間に設定し、投薬スケジュールの違いによる副作用への影響について実験動物を用いて検討した。その結果、ADR単剤投薬群と比較し、6, 12, 24時間の投薬間隔を設けた投薬群では有意に毒性死を軽減できることが明らかとなった。また、これらの投薬間隔の中でも、DOC投薬後12時間目にADRを投薬することで、副作用を最も軽減できることが明らかとなった。 そこで、両剤の投薬間隔を12時間に固定し、ADRの投与量及びDOCの投与量を増減させ、毒性死が用量依存的に発現するか否かについて評価した。その結果、ADRの投与量を増減させても、DOCを12時間先行投薬することで毒性死を抑制できることが明らかとなった。また、その効果は、DOCの投与量に依存することが明らかとなった(Breast Cancer Res.Treat.submitted)。 以上のことから、DOC先行投薬はADR誘発心毒性を抑制しているのではないかと考え、心機能障害の程度を評価した。 DOC先行投薬によるADR誘発心機能障害抑制効果 心毒性の指標として、腹水およびCPK-MB、心電図を評価した。ADR単剤投薬群はcontrol群と比較し有意に腹水およびCPK-MBを増加させた。一方、DOC先行投薬群はADR単剤投薬群と比較し、顕著に腹水およびCPK-MB減少させることが明らかとなった。また、経時的に心電図モニターを行ったところ、ADR(20mg/kg, i.v.)単剤投薬後4週目のQT間隔はcontrol群と比較し有意に延長した。一方、DOC先行投薬群ではcontrol群と比較しほとんどQT間隔の延長は認められず、投与後4週目のQT間隔はADR単剤投薬群と比較し有意に低値を示した。以上よりDOC先行投薬はADR誘発心毒性を抑制できると考えられる。現在、その機序として薬物動態学的側面より検討を行っている。
|