2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腺癌のリスク評価に普遍的に関連するムチン抗原の特定
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18014024
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米澤 傑 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10175002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正道 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80325779)
野元 三治 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (20274813)
東 美智代 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (60315405)
永田 耕治 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (80398289)
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Keywords | MUC4 / 免疫染色 / 肺腺癌 / micropapillary pattern / MUC1 / 予後 / MUC2 / methvlation specific PCR |
Research Abstract |
我々は、MUC4(気管支型膜結合ムチン)の発現が、膵胆管系の癌(浸潤性膵管癌、腫瘤形成型肝内胆管癌、肝外胆管癌)に共通した予後不良因子であることを明らかにしてきたが、肺腺癌においても予後不良因子となるか否かを検討した。3cm以下の小さな原発性肺腺癌185例の検討で、MUC4の発現は間質浸潤や血管浸潤に関連し、術後再発や生存率低下にも関わる予後不良因子であることが判明し、MUC4の発現は、臓器を越えた普遍的な予後不良因子である可能性が示された。一方、不良な予後と関連する病理組織所見とされているmicropapillary pattern(MPP)の癌に占める割合が高い肺腺癌患者においては、リンパ管侵襲やリンパ節転移の頻度が有意に高く、再発率が高く、生存率が低いことが判明した。そのMPP表面部分にはMUC1が強く発現しており、我々が、消化器癌において予後不良因子であることを確立してきたMUC1が、肺腺癌においてもMPPと関連した予後不良因子である可能性が示された。なお、MPPの割合が高い肺腺癌でもsurfactant apoproteinA(SP-A)がMUClよりも強く発現すると予後が良く、SP-Aが予後良好因子であることも示唆された。 様々の癌で予後良好因子であるMUC2の遺伝子発現機構を解明するために、MUC2遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化やピストン修飾状態を解析できるmethylation specificPCR(MSP)プライマーを作製した。膵胆管系腫瘍の組織標本からマイクロディセクション法により採取したMUC2の発現が陽性と陰性の細胞からDNAを抽出してMSPを行ったところ、実際のMUC2発現状況と一致する結果も得られ、ヒト腫瘍組織においても、MUC2の発現にDNAメチル化やピストン修飾状態が関与している可能性が示された。さらに、MUC2遺伝子に対する3種類のsiRNAを設計し、siRNA発現ベクターを構築後、ヒト膵癌細胞株BxPC-3(MUC2陽性)にリポフェクション法を用いて導入し、トランジェントにMUC2をノックダウンさせることに成功した。
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Research Products
(12 results)