2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腺癌のリスク評価に普遍的に関連するムチン抗原の特定
Project/Area Number |
18014024
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米澤 傑 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175002)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 正道 鹿児島大学, 大学院・歯学総合研究科, 准教授 (80325779)
野元 三治 鹿児島大学, 大学院・歯学総合研究科, 助教 (20274813)
東 美智代 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60315405)
|
Keywords | MUC1 / MUC2 / MUC4 / 予後因子 / DNAメチル化 / DNAメチル化定量解析システム / ヒストン修飾 / クロマチン免疫沈降法 |
Research Abstract |
ヒトの様々な腫瘍におけるムチンの発現様式を検索し、生命予後を含む様々な臨床病理学的因子との関連性について検討することにより、MUC1(汎膜結合ムチン)は予後不良因子、MUC2(腸型分泌ムチン)は予後良好因子であり、さらに、MUC4(気道型膜結合ムチン)は膵胆管系癌や肺癌における普遍的な予後不良因子であることを俯瞰的に総括することができた。 これらのムチン発現の分子機構については、予後良好因子であるMUC2の遺伝子発現機構を解明した昨年度につづき、今年度は、予後不良因子であるMUC1遺伝子が、MUC1プロモーター領域においてエピジェネティックに制御されていることを、ヒト癌細胞株を用いて明らかにした。 もともとMUC1の発現が低い膵癌細胞のPANC1と乳癌細胞のMDA-MB-453における5-aza-2'-deoxycytidine(5-azadC)とtrichostatinA(TSA)の処理によるMUC1mRNAの発現の変化を検討したところ、主として5-azadC処理によりMUC1mRNAの発現がみられるようになった。さらに、膵臓癌・乳癌・大腸癌細胞株の中から、MUC1陽性4株・陰性4株を選出し、各々の細胞株に対するMUC1プロモーター領域のDNAメチル化状態を、DNAメチル化定量解析システムMassARRAY^(R) 「EpiTYPER^TM」を用いて検討した結果、転写開始付近におけるCpGのメチル化状態がMUC1発現状態に相関していた。更に、クロマチン免疫沈降法を用いたMUC1プロモーターにおけるヒストンH3-K9修飾状態の検討においても、MUC1発現への関与が示唆された。これらの結果から、MUC1発現制御にはDNAメチル化とヒストンH3-K9修飾の双方が影響している可能性が明らかとなった。MUC4についても同様の検索を行ったところ、もともとMUC4の発現が低い膵癌細胞のPANC1と乳癌細胞のMDA-MB-453において、5-azadCとTSAの処理により、MUC4mRNAの発現がみられるようになり、MUC4の発現にもDNAメチル化やヒストン修飾が関連している可能性が示された。
|
Research Products
(13 results)