2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスマーカー、8-ヒドロキシグアニンによるアスベスト発がんリスクの予測
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18014026
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
葛西 宏 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40152615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 一明 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教授 (60161262)
高橋 謙 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (90226829)
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Keywords | 8-ヒドロキシデオキシグアノシン / 8-ヒドロキシグアニン / アスベスト |
Research Abstract |
アスベストの吸入によりFenton反応による直接作用あるいはマクロファージの食作用に伴う活性酸素の生成により細胞DNAが酸化的損傷を受ける可能性が示唆されている。酸化的DNA損傷のマーカーとして8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OH-dG)に着目し分析した。本年度はまずマウス、ラット、ヒト尿中の8-OH-dGおよび遊離塩基8-OH-Guaの正確な分析方法を検討した。方法としては、従来の陰イオン交換カラム(HPLC-1)および逆相カラム(HPLC-2)を組み合せたカラムスイッチング法により最終的に電気化学検出器(ECD)により8-OH-dG、遊離塩基8-OH-Guaを、またHPLC-1において濃度補正物質クレアチニン(Cre)、7-メチルグアニン(7-MG)を検出する最良の条件を検討した。その結果、上記HPLC-ECD法において陰イオン交換カラム(HPLC-1)における塩濃度およびpHの調節により8-OH-dG、遊離塩基8-OH-Gua、Creおよび7-MGを正確に測定することが可能となった。8-OH-dGに加えて遊離塩基8-OH-Guaの測定が可能となった事によりOGG1による修復産物も含めたDNA損傷の総和を把握できる可能性がある。またヒト集団における尿中8-OH-dG値、肺がんとの関係を検討した。177人の尿中8-OH-dGを測定し喫煙、BMIや他のライフスタイルとの関係を調べた。喫煙者では8-OH-dG値とBMIとの間に負の相関がみられた(Pearson相関係数r=-0.48;P=0.0004)。一方、非喫煙者では8-OH-dG値とBMIとの間に相関はみられなかった(r=-0.12;P=0.18)。これらの結果から痩せた人では喫煙により酸化的DNA損傷が高まりやすいと考えちれる。肺がんを含めたいくつかのがんで痩せた人でリスクが高いことが知られている。しかし現状ではその生物学的説明は十分なされていない。本研究結果から8-OH-dGは肺がん等の喫煙により起こるがんのリスク評価のための良いマーカーになることが示唆された。
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Research Products
(10 results)