2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫バランス制御を考慮した癌ワクチン・細胞治療の開発とその応用
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18015002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西村 孝司 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30143001)
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Keywords | がんワクチン療法 / Th1細胞治療 / 免疫バランス / Th1 / Th2 / CTL / サイトカイン / 樹状細胞 / 癌抗原 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を遂行し基礎的成果を臨床応用する道筋を作ることができた。 (1)CpGと癌抗原を封入したリポソームナノ粒子癌ワクチン:CpGのナノ粒子癌ワクチンで癌の完全退縮が誘導できることを既に明らかにした。その抗腫瘍機構を検討したところ、CpGで刺激されたDCから産生されるタイブ1型IFNsが直接CD8+T細胞に作用して癌特異的CTLが誘導されることが明確にされた。この際、IFN-γ産生Tc1に分化しやすいASGM1+CD8+メモリータイプT細胞が重要な役割を担っていることも示された。これらの結果をふまえて、CpGとNY-ESO-1を用いた臨床研究のプロトコールを作成、倫理委員会の承認を得て、患者のエントリーを北大病院で開始している。 (2)Th1セルアジュバント療法の確立:昨年、腫瘍内に癌抗原を投与して、癌特異的Th1細胞を静脈内投与することによって、MHCクラスII陰性癌の完全退縮を誘導できることを示した。本年度はTh1細胞療法の適用拡大をするために、T111細胞をアジュバントとして仮想癌抗原と共に癌近傍あるいは遠隔部のいずれに投与しても腫瘍の完全退縮が誘導されることを明確にした。また、Th1セルアジュバント療法によって、腫瘍内や所属リンパ節に蓄積する免疫制御性Tregが減少することも明らかにされた。 (3)癌抗原ヘルパーエピトープの単離、同定:Th1細胞治療を臨床応用するためには、癌特異的Th1細胞の誘導に必要なヘルパーエピトープの同定が不可欠である。そこで、食道癌等に発現し、抗原性が高いNY-ESO-1分子を用いて検討した結果、日本人に多く共有されるHLA(DRB1^*0405、DRB1^*0901、DRB1^*1502、DRB1^*0802の合計4種類)に結合するエピトープ領域を同定した。また、それらペプチドを用いて癌特異的Th1が誘導できることも確認した。
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