2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規抑制型MHCクラスI受容体の理解に基づく新たながん免疫療法の開発
Project/Area Number |
18015005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 晃 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (20344723)
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Keywords | 癌 / 免疫学 |
Research Abstract |
研究目的:抑制型免疫グロブリン様受容体PIR(Paired Immunoglobulin-like Receptor)-Bを標的とした新たながん免疫療法の開発 PIR-BはNK、T細胞には発現せず、B細胞やDCなど骨髄球系に発現しており、これらの細胞はPIRを介してMHCクラスI分子を認識することで自己認識システムを形成し、細胞活性を制御している。このPIR-Bによる自己細胞上のMHCクラスI分子の認識機構は、DCとCD8T細胞との相互作用においてはCD8と競合し、その結果効率的なCD8T細胞の活性化を阻害している可能性がある。そこで本研究ではタンパクレベルで、MHCクラスI分子とCD8の結合において、PIR-Bとの競合を明らかにすることを主な目的としている。 本年度研究成果:抗原特異的CD8T細胞(OT-I)-DC共培養系でPIR-BおよびCD8、MHCクラスI抗体を用いた免疫染色で共焦点レーザー顕微鏡を用い、DC上において同一細胞上のMHCクラスI分子とPIR-Bが結合していることが判明した。またB細胞-CD8T細胞との共培養系では、結合面においてB細胞上のPIR-BがCD8T細胞上のMHCクラスI分子と結合していることも判明した。すなわち、抗原提示細胞とCD8T細胞との相互作用において、PIR-BがcisおよびtransでMHCクラスI分子を認識しうることが確認できた。次にMHCクラスI分子との結合において、PIR-BとCD8分子との競合をみる目的でそれぞれのリコンビナントタンパクの作製を試みた。大腸菌を用いた系では、十分量のタンパクを得ることはできなかったが、ほ乳類細胞(CHO)を用いた培養系でPIR-B、CD8ともに十分量のタンパク質を得ることに成功した。次年度においてビアコア法を用いて、生化学的に競合を確認する予定である。
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Research Products
(5 results)