2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞の浸潤・転移に対するリゾ脂質性シグナル分子受容体標的薬剤の治療効果
Project/Area Number |
18015007
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡島 史和 Gunma University, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70217553)
佐藤 幸市 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00302498)
|
Keywords | リゾホスファチジン酸 / スフィンゴシン1-リン酸 / Ki16425 / グリオーマ / S1P2受容体 / RhoA / Rap / PTEN |
Research Abstract |
リゾ脂質性分子であるリゾホスファチジン酸(LPA)は癌細胞運動を強力に促進する。一方、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)はLPAの細胞遊走活性を抑制する。また、β-アドレナリンアゴニストもLPA応答を抑制することを見いだした。本研究ではこれらの新しいLPA作用に対する抑制シグナル解析、さらに、我々の開発したLPA受容体アンタゴニストKi16425のインビボにおける作用解析を行った。その結果、インビトロ:(1)グリオーマ細胞においてS1PはS1P2受容体を介してLPAによる細胞遊走、浸潤を抑制する。S1P2受容体を介した抑制作用に関し特にRhoを介したRac経路に対する効果について解析した結果、LPAはRhoAを活性化しないが、S1P刺激はRhoAを活性化することが確認された。(2)また、ドミナントネガチブRhoA、G_<12/13>を介したシグナルを遮断するp115RhoGEFのRGS蛋白の過剰発現実験などから、S1P2受容体はG_<12/13>/RhoAを介してRacを抑制していることが示唆された。(3)複数のグリオーマ細胞でPTENの発現とS1Pの遊走抑制応答を解析したところ、PTENを発現しないU87MG、1321N1 astrocytomaでもS1Pによる著明な抑制が確認された。従って、最近報告されたS1P2作用にPTENが必須であるということはグリオーマに関してはあてはまらないと考えられた。(4)β-アゴニストもRacの抑制を伴い細胞遊走を抑制するが、この作用にはRhoAではなくcAMP/Rapの関与が示唆された。現在、詳細な解析をすすめている。これに関連してcAMPホスホジエステラーゼ阻害薬であるシロスタゾールも遊走を抑制した。インビボ:(5)膵臓がん細胞YAPC-PDをヌードマウス腹腔内に投与すると3〜4週間後に腹膜播種が観察される。Ki16425を投与すると生存が若干延びること、また、興味あることに肝臓への浸潤(あるいは転移)が明らかに抑制されることを観察している。しかし、生存には劇的な変化がないことからさらに実験条件を検討したい。今後、LPA受容体アンタゴニストに加え、S1P2受容体アゴニスト、cAMP関連薬のグリオーマ治療へ応用が期待される。
|
Research Products
(12 results)
-
-
-
[Journal Article] Cyclooxygenase-2 expression and prostaglandin E2 production in response to acidic pH through OGR1 in a human osteoblastic cell line.2008
Author(s)
Tomura H, Wang JQ, Liu JP, Komachi M, Damirin A, Mogi C, Tobo M, Mochi H, Tamoto K, Im DS, Sato K, and Okajima F.
-
Journal Title
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Role of lipoprotein-associated lysophospholipids in migratory activity of coronary artery smooth muscle cells.2007
Author(s)
Damirin A, Tomura H, Komachi M, Liu JP, Mogi C, Tobo M, Wang JQ, Kimura T, Kuwabara A, Yamazaki Y, Ohta H, Im DS, Sato K. Okaiima F.
-
Journal Title
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 292
Pages: H2513-522
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Previously postulated "ligand-independent" signaling of GPR4 is mediated through proton-sensing mechanisms.2007
Author(s)
Tobo M, Tomura H, Mogi C, Wang JQ, Liu JP, Komachi M, Damirin A, Kimura T, Murata N, Kurose H, Sato K, Okajima F.
-
Journal Title
Cell Signal. 19
Pages: 1745-1753
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-