2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素シグナル抑制分子IPASの発現制御法の開発とがん治療への応用
Project/Area Number |
18015012
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
牧野 雄一 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (90345033)
|
Keywords | 低酸素 / 血管新生 / HIF-1 / IPAS / SiRNA / mRNAスプライシング |
Research Abstract |
固形腫瘍内の低酸素は、腫瘍細胞の増殖、転移、放射線へ抵抗性などの成立に密接に関与する。低酸素で活性化される転写因子HIF-1は、腫瘍細胞の低酸素適応に重要な役割を果たし、がん治療標的としての有用性が注目される。HIF-1拮抗分子IPASは、腫瘍血管新生抑制・増殖抑制ツールとしての有用性も実証されている。申請者はIPASの発現が、低酸素依存性の遺伝子転写ならびに選択的スプライシング機構により誘導され、腫瘍細胞では逆に抑制されていることを見いだしている。本研究では特に腫瘍細胞におけるHIF-1-IPAS相互作用による低酸素応答制御の分子機構の解明を通じHIF-1を標的とした新たながん治療法開発の基盤を確立することを目的とし、(1)IPAS発現の入為的制御法/抗HIF-1療法の確立、(2)腫瘍細胞におけるIPAS発現異常の分子機構の解明、(3)IPAS高発現、低発現動物モデルを用いた抗がん療法in vivo検定システムの構築、により抗腫瘍分子標的療法開発を目指す。本年度は以下の研究成果を得た。 (1)IPAS発現制御法の確立 1)IPAS遺伝子転写調節機構の解明:ChIPアッセイによりIPASプロモーターの低酸素応答性配列にHIF-1が結合することを明らかにした。HIF-3αのプロモーターでは低酸素応答性が欠如していた。2)IPASmRNA選択的スプライシング制御機構の解明:IPAS mRNA結合蛋白p70を細胞内で過剰発現させることにより、IPAS型スプライシングが増強し、p70 SiRNA導入により減少した。 (2)腫瘍におけるIPAS発現異常の分子機構の解明 IPASプロモーター活性は腫瘍細胞内で低下しており、HRE近傍にメチル化候補配列が二ヵ所存在した。 (3)IPAS高発現動物モデルを用いた抗がん療法検定システムの構築 IPAS Tgマウスでは創傷治癒モデルで見る血管新生が遅延していた。
|