2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18015015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 浩一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10360116)
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Keywords | マトリックスメタロプテイナーゼ / プラスミノーゲン / プラスミノーゲンアクチベータ / プラスミノーゲンアクチベータ受容 / プラスミン / 血管内皮増殖因子 / 血管新生 / ストローマ細胞 |
Research Abstract |
研究代表者らは、がんの浸潤、転移を制御する因子であるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性化を制御する線溶系因子プラスミノーゲン(Plg)/プラスミンのがん病態形成上の機能解析を進めている。この精査過程において、Plg活性化因子(uPA、tPA)の産生分泌及びその受容体(uPAR、LRP)の発現状況により、がん細胞及び造血系、血管内皮系細胞を含む各種組織前駆細胞の移動あるいは接着が制御されているとの仮説に至った。本研究はこの仮説を検証し、各種線溶系阻害剤を用いた新しい抗がん分子標的治療法の開発までをその目的としている。今年度、代表者らは白血病・リンパ腫患者の末梢血中に動員される単核球数と血漿中の可溶型uPARレベルとの間に正の相関関係があることを報告した。またこの報告の中で、単核球中でも特に好中球分画とuPARレベルとの間で相関性が強いこと、さらに好中球の産生するMMPを含む蛋白分解酵素が受容体のプロセシングにおいて重要な役割を担っていることまでが示唆された。次いで代表者らは生体中においてpro-MMPからMMPへの活性化が、プラスミンによって制御される事実をPlg遺伝子欠損マウスの実験によって確認し、さらに組織修復に伴う血管新生が線溶系を介したMMP-9の活性化に基づくことを解明した。さらに、血小板を含む骨髄由来の造血系細胞がVEGFの担体として機能していることを報告し、特にヘマンジオサイトと命名されたVEGFR1陽性CXCR4陽性分画に属する細胞ががん血管新生機構におけるHUBの役割を担っていることを示唆し、加えてMMPによってプロセシングされる造血因子Kit-ligandの血管新生過程における重要性も明らかにした。本研究成果は、Plg/プラスミン及びSDF-1/CXCR4シグナルのいずれもが、がん治療の新たな分子標的なり得ることを実証したものと言えよう。
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Research Products
(4 results)