2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞機能の理解に基づく腫瘍特異的免疫誘導法の開発
Project/Area Number |
18015016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
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Keywords | 免疫学 / がん治療 / 樹状細胞 / サイトカイン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
IL-23は、樹状細胞の分泌するサイトカインであり、memoryタイプのTh1細胞を刺激して、Th1細胞の維持・活性化およびIFN-γの産生を促進する。また、新規サブセットであるTh17細胞に作用して、Th17反応の増強およびIL-17産生を誘導することが最近報告されている。本研究では、IL-23の投与による抗腫瘍効果と、その免疫反応誘導の機序について検討した。マウス皮下腫瘍モデルにおいて、IL-23c DNAをIVEにより筋肉内に遺伝子導入することによりIL-23蛋白を全身投与したところ、IL-23はIL-12と同等の抗腫瘍効果を持つことが判明した。IL-23-IVEにより治療されたこれらのマウスから採取したリンパ節ならびに脾臓からリンパ球を分離してそのサイトカイン反応性について検討した。これらのリンパ球にCD3抗体を用いてT細胞受容体特異的刺激を与えたところ、培養細胞上清中に非常に高いIFN-γならびにIL-17が検出された。よって、担癌マウスへのIL-23蛋白の全身投与により、強いTh1反応およびTh17反応の両者が誘導されることが判明した。これらの反応と抗腫瘍効果との関連を検討するために、Th1反応が欠失していると考えられるIFN-γノックアウトマウスを用いた腫瘍モデルにおいて、同様にIL-23全身投与による治療を施行したところ、IL-23の抗腫瘍効果は完全に消失した。よって、IL-23の抗腫瘍効果発現にはTh1反応の方が強く関与していることが示唆された。また、IL-12(p35)ノックアウトマウスを用いた腫瘍モデルでは、IL-23投与の抗腫瘍効果が有意に減弱した。よって、IL-23による抗腫瘍効果には、内因性IL-12が重要な役割を果たしていることが示唆された。以上の結果より、IL-23の全身投与はTh1およびTh17両者の免疫反応を強く誘導するが、抗腫瘍効果の機序としてはTh1が主たるものであり、内因性のIL-12の存在が重要であることが示された(Journal of Immunology, In Press)。また、PGE2とOK432の併用刺激により誘導した成熟樹状細胞はIL-12およびIL-23を高発現していることが、予備実験にて判明しているため、この系におけるIL-23の役割についても、検討を続けている。
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Research Products
(3 results)