2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害因子の移植片対白血病効果における意義と臨床応用に向けた研究
Project/Area Number |
18015020
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (30293450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤羽 弘資 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 医学研究員 (90377531)
本名 浩子 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (50377537)
黒田 格 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (30402051)
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Keywords | 白血病 / 移植片対白血病効果 / 細胞障害因子 / アポトーシス / TRAIL / DR4 / DR5受容体 / 17;19転座 / E2A-HLF |
Research Abstract |
17:19転座型急性リンパ性白血病t(17;19)-ALLは極めて予後不良で、17;19転座に由来するE2A-HLFはアポトーシス抑制能を有する。移植片対白血病(GVL)効果には、細胞傷害性T細胞やNK細胞上に発現される細胞傷害因子のうちTRAILの関与が注目されている。そこでt(17:19)-ALL細胞株4株のTRAIL感受性を検討し、以下の点を明らかにした。 (1)遺伝子組み換えヒト可溶性(rhs)TRAILの添加によって、全株で他のB前駆型ALL細胞株に比べて有意に高いTRAIL感受性を認めた。 (2)rhsTRAILの添加でCaspase8、Bid、Caspase3およびPARPの切断が確認された。 (3)全株にdeath-domainを有するDR4/DR5受容体の発現を認めたが、decoy受容体は陰性であった。 (4)real time RT-PCRによるDR4/DR5遺伝子発現の解析では、他のB前駆型ALL細胞株に比べて有意に高い発現を認めた。 (5)697株にE2A-HLFを導入したところ、DR4/DR5遺伝子発現が強力に誘導された。この発現誘導にはE2A-HLFの転写活性化およびDNA結合ドメインが必須であった。 (6)TRAIL感受性株Nalm6にE2A-HLFを導入したが、TRAIL感受性への影響は認められなかった。 以上からE2A-HLFはTRAILによるアポトーシスに対しては明らかな抑制効果はなく、t(17;19)-ALLはTRAILを介するGVL効果に感受性を示すと考えられる。従って、早期に同種造血幹細胞移植を行うことでt(17;19)-ALLの予後が改善する可能性がある。また、転座由来の融合遺伝子としては初めてE2A-HLFがDR4/DR5の発現を誘導することを明らかにした。腫瘍細胞のTRAIL感受性における機序解明の糸口として注目され、解析を継続している。
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Research Products
(3 results)