2006 Fiscal Year Annual Research Report
CD8+CD122+制御性T細胞を利用したがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
18015023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90283431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 あけみ 山口東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (70412377)
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Keywords | 制御性T細胞 / CD8陽性 / 繊維肉腫 / T細胞受容体 / CD122 / IL-2受容体 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
CD8^+CD122^+制御性T細胞を操作することで、がんに対する免疫応答をも変化させることができるかを、マウスの移植腫瘍と腫瘍細胞特異的TCRトランスジェニックマウスの系を用いて解析を進めた。腫瘍細胞はマウス繊維肉腫のCMS5を用い、その腫瘍特異抗原である9m(変異型Erk2タンパクの一部ペプチド)をH-2K^dとともに認識するTCRをトランスジェニックにしたマウス(DUC18)をT細胞のソースとして用いた。通常のマウスはもともとCD8+CD122+制御性T細胞を持っているため解析に適さないということで、解析結果をよりわかりやすくするためにT細胞を欠損するSCIDマウスをホストとして用い、そこにDUC18マウス由来の腫瘍反応性T細胞(CD8^+CD122^+制御性T細胞を除きCD8^+CD122^-細胞だけの純粋なエフェクター細胞とする)と野生型マウス由来のCD8^+CD122^+制御性T細胞を移入するという系を確立した。適当な数のCMS5腫瘍細胞をSCIDマウスに移入すると、他に何も移入しなければ腫瘍は増殖しマウスを死に追いやるが、腫瘍細胞移植と同時にDUC18マウスからとったCD8^+CD122^-細胞を移入すると腫瘍は拒絶され、マウスは健常となる。ここにさらに野生型マウスからとったCD8^+CD122^+制御性T細胞を適当数加えて移入すると、一旦拒絶されたように見えた(腫瘍瘤が縮小した)ものが再度増殖を開始して腫瘤が大きくなるという現象が見られた。この実験結果から、CD8^+CD122^+制御性T細胞は抗腫瘍免疫応答を特に後期において抑制し、腫瘍の再発という現象に関わっている可能性が示唆された。何らかの方法でCD8^+CD122^+制御性T細胞の活性を抑えることが、腫瘍の再発に対する対策になるかもしれない。
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Research Products
(1 results)